2024年10月11日、武蔵野市の武蔵野市民文化会館小ホールで行われた、橘和美優さんが出演されたコンサートを聴いてきました。橘和さんは第8回仙台国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門に出場し、第5位を受賞されたヴァイオリニストです。仙台での受賞のほか、第19回東京音楽コンクール弦楽部門第2位及び聴衆賞、第89回日本音楽コンクール入選、第9回宗次エンジェルヴァイオリンコンクール第1位など、他のコンクールでも数多くの賞を受賞されています。最近では2023年のロン=ディボー国際音楽コンクールでも第5位を受賞されました。東京藝術大学を首席で卒業、現在は東京音楽大学大学院で研鑽を積まれています。使用楽器は宗次コレクションから貸与された1697年製ストラディバリウスです。
橘和 美優 ヴァイオリン・リサイタル
【日時】2024年10月11日(金)19時00分 開演
【会場】武蔵野市民文化会館 小ホール
【出演者】橘和 美優(ヴァイオリン)
大伏 啓太(ピアノ)
大谷 康子(ヴァイオリン:ゲスト)
【演奏曲目】
【演奏曲目】
クライスラー/美しきロスマリン、中国の太鼓
イザイ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番「バラード」
ベートーヴェン/ヴァイオリンソナタ第7番
シベリウス/ノヴェレッテ
ヴィエニャフスキ/グノーの「ファウスト」の主題による華麗なる幻想曲
プーランク/ヴェイオリン・ソナタ
ショスタコーヴィチ/2つのヴァイオリンのための5つの小品(共演:大谷康子)
アンコール/エルガー 愛のあいさつ
2週間前の太田糸音さんのリサイタルに続き、この日も武蔵野市民文化会館で橘和美優さんのリサイタルがあり、再びこのホールに足を運びました。素晴らしい響きと、ユニークなチラシが次々と繰り出されるこのホール。これからも注目していきたいと思います。この日のピアノ共演は「せんくら」等、仙台でもおなじみの大伏啓太さん。そして、橘和さんの先生である大谷康子さんがゲストで共演するという贅沢なコンサートを満喫しました。
最初の2曲はおなじみのクライスラーの定番曲で楽しませてくれました。次はイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番。この3番は橘和さんが仙台のコンクール予選でも弾かれた作品です。そして、私が橘和さんのこの曲を演奏するのに接するのは3回目でした。ストラディバリウスも会場に慣れて音がどんどん鳴ってきて、橘和さんも深い音色で情緒を込めて、より自由により幅の広い表現で豊かな演奏を聴かせてくれました。ベートーヴェンのソナタ第7番では、大伏さんとの息もぴったりで、アンサンブルの楽しさを緩急をつけて味わせてくれました。
休憩後は、シベリウスのノヴェレッテでスタート。とても美しい曲でお気に入りの作品の1つになりました。ヴィエニャフスキは技巧的でかつ美しい曲。プーランクのヴァイオリン・ソナタは、スペインの詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカを偲んで作られた作品とプログラムの曲目解説にありました。銃声などもピアノで表現されるドラマ仕立てのような作品で、プーランク独特の不思議な音のつながりが面白い作品でした。橘和さんはどちらの作品も手堅い技巧と幅広い表現、豊かな音で安定した演奏を聴かせてくれました。それを支える大伏さんのピアノが素晴らしく、ヴァイオリンが休符の時の優しいピアノのささやきや劇的な表現に癒やされたり、心打たれたりしました。
最後のショスタコーヴィチでは、橘和さんの先生の大谷康子さんが登場、まずはトークで盛り上がりました。橘和さんは高校1年の時から大谷さんに師事。その際に大谷さんに「そんな、体操のような演奏ではだめ」と指摘された思い出を語って、場内の笑いを誘っていました。大谷さんも素晴らしい人柄がそのままトークに表れていて、舞台は明るく華やかな雰囲気になりました。続いての3人の演奏は楽しさあり、憂いありの多様性にあふれていて、師匠と弟子の幸せな時間を共有できたことが嬉しかったです。
演奏が終わった後、拍手に応えて何度も舞台に出てきてお辞儀された橘和さん。アンコールとしてエルガーの「愛のあいさつ」を弾いてくださいました。音の響きの豊かさや表現の幅がますます広がった橘和さん、これからも応援していきたいと思います。
このホールのチラシ、やはり攻めに攻めてます。
橘和さんのインタビュー記事が掲載されています。ぜひご覧ください。
広報宣伝サポートボランティア 岡
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