2025年2月12日水曜日

中野りなの三都物語(共演:津田裕也) 公演レポート



2025年2月5日、東京都台東区の東京文化会館(上野公園内)小ホールで行われた、中野りなさんが出演されたコンサートを聴いてきました。中野りなさんは、2022年の第8回仙台国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門に出場し、史上最年少の17歳で優勝(および聴衆賞)に輝いたヴァイオリニストです。仙台での受賞の前年にも、第90回日本音楽コンクールで優勝されています。仙台優勝当時は高校生だったのですが、現在は桐朋学園大学に特待生として在学されています。使用楽器は一般財団法人ITOHから貸与された1702年製ストラディバリウスです。共演のピアニストは仙台市出身の津田裕也さん。第3回仙台国際音楽コンクールピアノ部門で優勝された後、せんくらを始めとする仙台でのコンサートにもたびたび出演されているので、このブログであらためてご紹介する必要はないですね。現在は東京芸術大学音楽学部の准教授として、後進の指導にも当たられています。今回は仙台国際音楽コンクール優勝者デュオという私にとっては贅沢すぎるコンサートでモーツァルトを堪能できました。

日本モーツァルト協会2025年2月例会(第666回)
中野りなの三都物語 ヴァイオリン・リサイタル

【日時】2025年2月5日(水)18時45分 開演
 
【会場】東京文化会館 小ホール (上野公園内)
  
【出演者】中野  りな(ヴァイオリン)
     津田  裕也(ピアノ)
          
【演奏曲目】(オールモーツァルトプログラム)
 ヴァイオリン・ソナタ ト長調 K301
 ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 K306
 ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 K376
 ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調 K454

【主催】特定非営利活動法人 日本モーツァルト協会

ではまず、プログラムに記載されている中野りなさんからのメッセージを紹介します。

モーツァルトは、私にとって、幼い頃から学び続けてきた大切な作曲家です。純粋に楽しく演奏していた時期もありましたが、勉強を深める中で、型を意識しすぎて自由さを見失い、彼の音楽に向き合うことが難しかったこともあります。しかし、昨年ウィーンに滞在中、オペラを鑑賞し、大学では「魔笛」の演奏を経験し、その音楽の素晴らしさに改めて心から感動しました。
モーツァルトの音楽には、喜び、悲しみ、怒り、切なさ、遊び心など、多彩な感情が溢れていますが、聴いたり演奏したりした後には、必ず心が温かさで満たされます。それが彼の作品の不思議な魅力ではないかと、感じています。
モーツァルトのソナタ4曲という特別なプログラムに、緊張していますが、どのような演奏会になるのか、とても楽しみです。中野りな
 
中野さんのモーツァルトに向き合う軌跡が記されたメッセージを読んだ後、演奏に接して、とても納得するものがありました。もともと均整のとれた素晴らしい演奏をするヴァイオリニストと思っていましたが、それに加えて音楽に変化をつけてモーツァルトの陰影を明確に表現していました。うっとりとする優雅さと力強さが交互し、時にハッとするような間を作って楽しませてくれました。仙台で優勝した時から音楽の幅がさらに大きく広がった印象を受けました。私は残念ながら行けないのですが、2月15日、仙台での優勝者記念コンサート(完売)ではどんな演奏になるか本当に楽しみですね。

中野さんの演奏を際立たせていたのは、津田さんのピアノです。中野さんの工夫に常に寄り添うように呼吸を合わせていたのが、客席からもよく分かりました。モーツァルトのヴァイオリンソナタは、ピアノソロの部分が結構多いのですが、そのとき聴くことができる津田さんの優しい音色と表現にも魅了されました。多くのヴァイオリニストやアンサンブルが津田さんに共演を求めていると聞きましたが、今日の演奏を聴いて心から納得しました。

3月には中野りなさんが、小林研一郎さん率いる日本フィルハーモニー交響楽団との共演で、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏されます。こちらもチケットを予約したので、中野さんがチャイコフスキーをどう表現するかが一層楽しみになりました。

これからも中野りなさん、津田裕也さん、応援していきたいと思います。

広報宣伝サポートボランティア  岡


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