2023年12月25日月曜日

青木尚佳 無伴奏ヴァイオリンコンサート 報告

 


2023年12月21日、東京の紀尾井ホールで行われた、青木尚佳さんが出演されたコンサートを聴いてきました。青木さんは第6回仙台国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門に出場し、第3位に入賞されたヴァイオリニストです。仙台での受賞のほか、2014年のロン=ティボー=クレスパン国際コンクールで第2位及びモナコ大公アルベール二世賞を受賞するなど、国内外のコンクールで数多くの賞を受賞されています。2021年にはミュンヘン・フィルのコンサートマスターに合格、翌年3月に正式に就任が叶っています。今回はミュンヘン・フィルのコンサートマスターへの就任を記念したコンサートでもありました。


紀尾井レジデント・シリーズⅢ ー 第1回

青木 尚佳 

【日時】2023年12月21日(木)19時00分 開演
 
【会場】紀尾井ホール (東京都千代田区紀尾井町)
  
【出演者】青木 尚佳(ヴァイオリン)
          
【演奏曲目】
 イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Op.27 全曲

    第1番 ト短調

  第2番 イ短調

  第3番 ニ短調「バラード」

  第4番 ホ短調

  第5番 ト長調

  第6番 ホ長調


紀尾井レジデントシリーズは紀尾井ホールとスーパーアーティストがクリエイティビティを展開するコンサートで、青木さんはシリーズ3人目のアーティストに選ばれました。今回のコンサートは、2022年、トレヴァー・ピノックのキャンセルで開催危機となった紀尾井ホール室内管弦楽団を救う形でこのホールのデビューを果たした青木さんの一種の凱旋公演となりました。第6回仙台国際音楽コンクールは、予選がバルトーク、モーツァルト、パガニーニ。セミファイナルがシューマンの協奏曲+ヴァイオリン曲を1曲。ファイナルがメンデルスゾーンの協奏曲+協奏曲1曲という内容で、課題にイザイがなく、今回青木さんのイザイは初めて聴く機会を得ました。

コンサートの前半がソナタ第1~第3番。休憩を挟んで後半がソナタ第4~第6番の演奏でした。今回のプログラム(パンフレット)で「公演に寄せて」という紀尾井ホールからのメッセージが掲載されているのを読みました。「一挺のヴァイオリンがどれほど多彩な表現の可能性を持っているか、彼女は存分に聴かせてくれることでしょう」と記されていましたが、実際に聴いてみた感想はまったくその通りでした。青木さんのヴァイオリンからは本当に豊かな音が引き出されていて「楽器が鳴っている」ことを実感しました。しかも、曲によって様々な音が流れてきます。透明な音、濃い音、懐かしい音、力強い音、消え入るような繊細な音。そして、整然としたイン・テンポが時には揺れ、曲の終わりに加速するのは、聴いていて本当に心地よかったです。そして、超絶技巧をまったく「超絶」と思わせず、普通に弾いている印象を受けて、どの曲もストレスなく楽しく聴くことができました。

演奏が終わった後、拍手に答えて何度も登壇し、舞台で挨拶された青木さん。無伴奏のコンサートは「孤独」と「自由」が存在するけれど、今回は多くのお客様に囲まれて「孤独」は感じず、楽しく「自由」に弾くことができたとコメントされていました。ストラディバリウス 1713年製”Rodewald"から豊かな音を自在に引き出しいて、これからもますます世界で活躍されることでしょう。仙台でも、多彩な音が織りなされる演奏を聴かせていただけることを期待したいと思います。




広報宣伝サポートボランティア  岡

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