2024年3月28日木曜日

中野りな ルゥォ・ジャチン デュオ・リサイタル 報告


2024年3月27日、横浜のフィリアホールで行われた、中野りなさんとルゥォ・ジャチンさんが出演されたコンサートを聴いてきました。皆様ご存じの通り、第8回仙台国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門とピアノ部門に出場し、優勝されたお二人によるデュオ・リサイタルです!

3月はこの二人のリサイタルが多くあり、この日のリサイタルもその一環でした。仙台の優勝から2年。中野さんの公演はその後、東京でも何回か聴く機会がありましたが、ルゥォさんのピアノを聴くのは昨年5月以来、久しぶり。そして、中野さん、ルゥォさんお二人の優勝者の共演を聴くのは初めてなので、この日が来るのを本当に楽しみにしていました。


フィリアホール オープン30周年記念コンサート

2022年仙台国際音楽コンクール覇者の共演!
中野りな ルゥォ・ジャチン デュオ・リサイタル

【日時】2024年3月27日(水)19時00分 開演
 
【会場】フィリアホール (横浜市青葉区民文化センター)
  
【出演者】中野  りな(ヴァイオリン)
     ルゥォ・ジャチン(ピアノ)
     
【演奏曲目】
 シマノフスキ:ヴァイオリンとピアノのための3つの詩曲「神話」 op.30 より 
        第3番:ドリヤードとパン
 シューマン:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 イ短調 op.105
 パガニーニ:ロッシーニの「タングレディ」のアリア「こんなに胸騒ぎが」
       による序奏と変奏曲 op.13
 イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調「バラード」 op.27-3
                        (ヴァイオリン・ソロ)
 ショパン:バラード 第1番 ト短調 op.23(ピアノ・ソロ)
 サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ニ短調 op.75
 アンコール/クライスラー:ウィーン奇想曲
 
 
フィリアホールは客席数500人規模で音響もとてもよくアットホームな雰囲気で、お二人の共演にはぴったりのホールと思いました。この日のプログラムは3月31日の仙台でのデュオ・リサイタルとかなり重複しており、細かい感想を書くのは一種のネタバレになってしまうので、遠慮したいと思います。とはいえ、とても充実した、素晴らしいコンサートだったので、これからお二人の共演を聴く方のために、おすすめポイントを簡潔に記したいと思います。

最初のシマノフスキはヴァイオリンのハーモニクスが連続する、不思議な感覚で冴え冴えとした美しさと激しい表現が共存している曲でした。中野さんの技巧とルゥォさんの美音が印象的でした。

2曲目のシューマンは、中野さんのヴァイオリンの中音域の深く美しい音色を存分に味わうことができました。

3曲目のパガニーニは、素材となっているロッシーニのアリアをヴァイオリンで見事に弾きあげていました。次々に繰り出されるヴァイオリンの技巧、そしてロッシーニのアリアに特徴的な、ちりばめられた細かいパッセージがヴァイオリンで見事に表現されており、聴いていて溌剌とした気持ちになりました。

4曲目、イザイの無伴奏ヴァイオリンソナタは私にとって、この日最大の驚きでした。仙台のコンクールでもすでに完成された感があった中野さんのヴァイオリン。でもこの日のイザイは音楽表現がさらに広がり、大きく深い音楽に進化していました。中野さんは一体どこまで進んでいくのか。仙台の皆様、中野さんのイザイ、聞き逃さないでください!

5曲目のルゥォさんソロのショパン。安定した技巧、水晶のような音色、激しくても崩れない表現。やっぱりルゥォさんは凄い!と思わせるバラードでした。

最後のサン=サーンスはお二人のやりとりによるアンサンブルの妙を楽しみました。呼吸もぴったりな演奏は、もう何年も共演してるのではと思わせるほどでした。

この日のプログラムは初めて聴く曲が多く開演前は不安でしたが、始まってみるとバラエティに富んだ曲それぞれに中野さん、ルゥォさんの個性が生かされ、不安は完全に吹き消されました。どんな曲にも対応できるお二人の技量と音楽性を多くの方に体験してもらいたいと心より思いました。

お二人の公演はこれから、千葉、茨城、仙台と続きます。横浜公演も本当に来てよかったと思わせる内容も雰囲気も素晴らしい一夜でした。仙台にたどり着くころには更に完成度を深めて、忘れられないリサイタルになることでしょう!




広報宣伝サポートボランティア  岡

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