2023年11月8日水曜日

橘和 美優 ヴァイオリン・コンサート 報告

 


2023年11月7日、上野の東京文化会館小ホールで行われた、橘和美優さんが出演されたコンサートを聴いてきました。橘和さんは第8回仙台国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門に出場し、第5位を受賞されたヴァイオリニストです。仙台での受賞のほか、第19回東京音楽コンクール弦楽部門第2位及び聴衆賞、第89回日本音楽コンクール入選、第9回宗次エンジェルヴァイオリンコンクール第1位など、他のコンクールでも数多くの賞を受賞されています。東京藝術大学を首席で卒業、現在は東京音楽大学大学院で研鑽を積まれています。


上野deクラシック Vol.87
橘和 美優 ヴァイオリン・コンサート

【日時】2023年11月7日(火)11時00分 開演
 
【会場】東京文化会館 小ホール (上野恩賜公園内)
  
【出演者】橘和  美優(ヴァイオリン)
     五条  玲緒(ピアノ)
     
【演奏曲目】
 パガニーニ:24のカプリス Op.1より 第1番 ホ長調

   イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調「バラード」 Op.27-3

   ヴィエニャフスキ:グノーの『ファウスト』による華麗なる幻想曲 Op.20

   プーランク:ヴァイオリン・ソナタ FP119
 アンコール/グラズノフ:幻想曲
 
 
上野deクラシックシリーズは上野の東京文化会館が主催する、東京音楽コンクール入賞者によるコンサートシリーズです。この日のピアノ共演は五条玲緒さん、橘和さんの高校の同級生だったそうです。ランチ前の1時間、お二人の熱演で、とても良い時間を過ごすことができました。

最初の2曲は無伴奏ヴァイオリンソロ。パガニーニの24のカプリス第1番を爽快に弾きあげた後、橘和さんは1曲、1曲、マイクで丁寧に曲紹介をしながらプログラムを進めていきました。2曲目はイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番。なんとこの3番は橘和さんが仙台のコンクール予選でも弾かれた作品です。この日の演奏はコンクールの時よりも深い音色で情緒を込めて、より自由により柔軟に作品をふくよかに表現されていました。コンクールから1年半、橘和さんの成長がはっきり音や表現方法に現れていて、本当に嬉しく聴きました。

続く、ヴィエニャフスキは技巧的でかつ美しい曲。プーランクのヴァイオリン・ソナタは名ヴァイオリニスト、ジネット・ヌヴーに依頼された作品で、スペインの詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカを偲んで作られた作品と橘和さんから説明がありました。銃声などもピアノで表現されるドラマ仕立てのような作品で、プーランク独特の不思議な音のつながりがある旋律と劇的な要素が混在していました。橘和さんはどちらの作品も手堅い技巧と豊かな音で安定した演奏を聴かせてくれ、五条さんとのアンサンブルも息が合っていました。

演奏が終わった後、拍手に答えて舞台で挨拶された橘和さん。アンコールのプレゼントとして、グラズノフの幻想曲を弾いてくださいました。静かでとても美しい小曲で、コンサートが終わった時、豊かな後味が残りました。音の響きを大切に、宗次コレクションより貸与されたストラディバリウスを弾きこなしている橘和さんに対して、これからもますます応援したい気持ちが高まりました。

橘和さんのインタビュー記事が掲載されています。ぜひご覧ください。


広報宣伝サポートボランティア  岡

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