2016年6月25日土曜日

チャレンジャーズ・ライヴ (ピアノ部門②)

 
 
6月22日(水)、日立システムズホール仙台シアターホールにて、コンクール関連事業のコンサート「チャレンジャーズ・ライヴ(ピアノ部門)」が開催されました。「チャレンジャーズ・ライヴ」とは仙台国際音楽コンクールで次の審査段階に進めなかった出場者の有志が出演し、市民の皆さんに演奏を身近に楽しんでもらう目的で開催されたコンサートです。この日、第6回コンクールでのチャレンジャーズ・ライヴとしては4回目、最終回の開催となりました。 
 
ピアノのファイナル直前とあって、シアターホールには、ピアノを弾いている様子が良く分かる下手側(写真の左側)を中心に、多くのお客様が集まりました。
 
この日の司会も田原さえさん(ピアニスト、仙台国際音楽コンクール企画推進委員)でした。まずは田原さんからご挨拶がありました。

皆様、ようこそお越しくださいました。5月21日にヴァイオリン部門の予選が始まりましてから早くも1ヶ月が経ってしまいまして、いよいよコンクールのピアノのファイナルを残すのみとなりましたが、本当に素晴らしい演奏が目白押しで、第6回目ですがレベルが毎回どんどん上がってきているなという気がいたします。今日も皆さんそれぞれ素晴らしい演奏を聴かせてくださいます。

今日は楽器についてのお話をさせていただきたいと思います。あまりご覧になったことがないかも知れませんが、このピアノはファツィオリといいまして、イタリアのメーカーの楽器です。このファツィオリは、もともと家具のメーカーで、先程調律師さんにうかがいましたところ、6人兄弟の末っ子の息子さんが非常に楽器が好きで、家具工房の隅の方でピアノ製作を始めたのが最初だそうです。そして、未だに手作りによるピアノ製作を続けており、年間130台位しか作らず、その全てが完売してしまうという世界中から望まれる楽器になりつつあるとのことでした。実は、私が以前留学していた際、先生からスタインウェイやベーゼンドルファーも良いけれど、イタリアにはファツィオリというすごく良いピアノがあるとうかがったことがあり、その時は触れることがなかったのですが、その後日本で出会えた時はこれがファツィオリかと思いました。どうぞ皆様、なかなか普段ファツィオリの音色をゆっくり聴く機会もなかなかないと思いますので、それも併せて最後まで楽しんでいただければと思います。今日はピアノの魅力にあふれるプログラムで、リストに始まり、リストに終わるという構成になっております。

 最初の演奏者はハ・ドンワンさん(韓国)。曲はリストのコンソレーション第3番とリゴレット(演奏会用パラフレーズ)でした。ハ・ドンワンさんはここ数日、仙台市内の小学校で行われた「学校訪問コンサート」にもご出演いただきました。これまでの印象を田原さんが聞くと、皆さんやお子さん達のために演奏できるということはとても嬉しい。ただ練習するだけではなく、皆さんの前で演奏させていただくことが自分の自信に繋がっていくので、このような機会を与えていただいたことを感謝しますと話してくれました。お子さん達に聴いていただくということで、ドンワンさんは少し心配していましたが、皆さんとても真面目に一所懸命聴いてくれたので安心したそうです。お子さんたちがクラシック音楽に興味を持ったり、好きになってくれたら嬉しいとコメントを結んでくれました。

2番目はアリーナ・ベルクさん(ルーマニア)。曲はD.スカルラッティのソナタK.492、アルベニスのアリョルカ島(舟歌)そして、プロコフィエフのピアノソナタ第7番でした。日本食のことを話題にすると多くの出演者が牛タンのことを話題にするのに対して、アリーナさんはどちらかと言うと菜食傾向で、「天ぷらそば」がとても気に入ったとのこと。アリーナさんの母国ルーマニアの料理は、すごく辛かったり、スパイシーなものはなく、どちらかというとマイルドで、生クリームや野菜をベースにしたソースを良く使い、野菜や肉を煮込んだ料理が多く、魚も(生では食べませんが)よく食べられるそうです。
 
3番目は浜野与志男さん(日本)。曲はラフマニノフの「エレジー」と「東洋のスケッチ」、そしてシチェドリン(プレトニョフ編曲)の「アンナ・カレーニナ」より2つの演奏会用小品でした。浜野さんは昨年、イギリスからドイツのライプツィヒに移られました。ライプツィヒは人口が50万人ほどで歩いて回れる、日本の中でいうと前橋というイメージで、バッハやメンデルスゾーンも働いた音楽的な街だそうです。ここにはゲヴァントハウスという有名はオーケストラもあり、毎日のように良いコンサートも開かれます。ベルリンで有名なピアニストの演奏会があると、その後ライプツィヒでも続いて演奏会が開催されるというような、良い演奏会の伝統があり、聴く面でも非常に勉強になるとのことでした。続いて、今回プログラムにいれたシチェドリンという作曲家の話題になりました。シチェドリンは昨年他界された有名なバレリーナ、マイア・プリンセツカヤのご主人だった人だそうです。先の予選でも弾いたシチェドリンとグバイドゥーリナの作品は、浜野さんが来年の2月に行われる東京でのコンサートシリーズの為に用意しているもので、ロシア音楽はチャイコフスキー、ラフマニノフ、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチだけではなく、60~70年代にこれほど面白い作品があったということを発掘・紹介したいという想いで選んだとのことでした。

休憩をはさんで、後半の最初はジュリアン・マーさん(アメリカ)。曲はシューマンの「謝肉祭」より「キアリーナ」「ショパン」「オイゼビウス」とラヴェルの「鏡」より第3曲「海原の子舟」でした。今回、シューマンの「謝肉祭」から何を弾くか事前には決めていなくて、このピアノを試し弾きしていたら、そのきれいな響きを感じて「オイゼビウス」を加えたとのことでした。今回お世話になっているホストファミリーにはお嬢さんが2人いて、ジュリアンさんとすごく仲良くなり、19日はジュリアンさんの誕生日ということでタコヤキパーティを開いてくれたそうです。昨日は6歳の下のお嬢さんと一緒にお風呂に入ったエピソードも紹介してくれました。

 
 
この日の最後の出演者はヨアン・ドラゴス・ディミトリュさん(ルーマニア)。曲はショパン練習曲第3番「別れの曲」とリストの「超絶技巧練習曲集」より第10番と第12番「雪あらし」でした。先週のチャレンジャーズ・ライヴでも紹介されましたが、ヨアンさんには、お父様が日本人のハーフで歯科医をしておられる婚約者がいらっしゃいます。そのため、ヨアンさんは今回3度目の来日です。この10日間仙台をくまなく見て回った中で、先週食べた寿司はこれまで食べた物の中で最も美味しいと思う位感激したそうです。また、居酒屋で飲んだ日本酒も美味しく、ルーマニアにはアルコール度数が70%を超えるような強いお酒もあるそうですが、日本のお酒はそれより美味しいとのことでした。ヨアンさんはこれからあと2週間位日本に滞在し、30日に横浜で行われる熊本のためのチャリティーコンサートに出演されます。仙台はとても気に入ったので、また是非来たいとコメントして下さいました。

コンサートの最後に田原さんからのご挨拶がありました。
今日、ハ・ドンワンさんもこの様な機会を与えていただいて感謝していると言って下さいましたが、先週、あるピアニストと話す機会がありました。彼は予選で落ちてしまった後、すごく落ち込んでいて、声を掛けても「今何も考えられない。明日の朝まで待って」という感じだったのです。チャレンジャーズ・ライヴの後に彼と話をしましたら、「本当に感謝している。もしあの様に落ち込んだままだったら、僕はしばらく立ち直れなかったと思う。でもこの様なコンサートがあるということで勇気を持ってピアノに立ち向かってみたら、お客様がとても温かい拍手を送って下さり、再び自信を取り戻すことができた。そして、何よりも自分はこんなにピアノが大好きだったということを改めて気付かされました。本当にまた仙台に来たいです」と言ってくださいました。そんなチャレンジャーズ・ライヴ。スタッフの方、事務局の方、本当に大変なご苦労があったと思いますが、仙台国際音楽コンクールならではの素晴らしいコンサートだと感じます。また、3年後にお目にかかれますように!どうもありがとうございました。

終演後は恒例のサイン会が開かれ、コンクール公式プログラム等を手にした聴衆の皆さんがサインを求めながら、出演者と楽しく語らいの時間を過ごしていました。
 
 
コンクールも残すはファイナル最終日とガラコンサートだけになりました。この原稿は6月25日の12時にアップしましたが、あと7~8時間後にはメダリストも決まります。これから会場へ向かい、本選審査の演奏としては最後の4曲を楽しみたいと思います。
 
 
広報宣伝サポートボランティア   岡

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