第6回仙台国際音楽コンクール開催記念コンサート
コンクールへの前奏曲
~3人のソリストが誘う 協奏曲の世界~
日時:3月13日(日) 14:00開演
会場:日立システムズホール仙台 (仙台市青年文化センター)
コンサートホール
出演:リチャード・リン(ヴァイオリン/第5回仙台国際音楽コンクール優勝)
ソヌ・イェゴン(ピアノ/第5回仙台国際音楽コンクール優勝)
有希マヌエラ・ヤンケ(ヴァイオリン/第2回仙台国際音楽コンクール入賞)
海老原 光(指揮)
仙台フィルハーモニー管弦楽団
演奏曲目
プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲 第1番
ーアンコール 菅野よう子/花は咲く (リチャード・リン)
ーアンコール 菅野よう子/花は咲く (リチャード・リン)
シューマン/ピアノ協奏曲
-アンコール リスト/コンソレーション第3番 (ソヌ・イェゴン)
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
-アンコール バッハ/無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番
~ ラルゴ (有希 マヌエラ・ヤンケ)
プログラムの最初はリチャード・リンさんソロによるプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番。全曲を通して、リチャードさんの心に寄り添ってくるような、温かい美音が貫かれた演奏でした。超速の中、ありとあらゆる技巧が連続する第2楽章でE線(1弦)が切れるというアクシデントがあり、ご本人の希望で第2楽章が2回演奏されました。前回コンクールのガラコンサートでの成田達輝さんのハプニングが思い出されましたが、今回もリチャードさんは少しも慌てず、第2楽章の再演と第3楽章を難なく弾き終えました。終演後のリチャードさんの日本語での挨拶と仙台フィル、弦のトップ奏者との協演「花は咲く」は聴衆の心を熱くさせました。
2番目のプログラムはソヌ・イェゴンさんソロによるシューマンのピアノ協奏曲でした。舞台に表れたソヌさんは、トレードマークだった眼鏡も掛けておらず、シェイプアップして凛々しい男の雰囲気に変わっていました。いつも安心して聴いていられる安定したテクニックはそのままに、表現とダイナミックスがより幅広くなったソヌさん。時にオーケストラに挑戦を臨むような積極性を見せて、3年間の年月が彼の演奏をより大きくさせたことを実感させてくれました。
最後のプログラムは有希マヌエラ・ヤンケさんによるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。赤のドレスで舞台に表れたヤンケさんによって、会場は一気に華やかな雰囲気に包まれました。ヤンケさんの音色はリチャードさんとはまた異なる、芯は通っている清々しいもので、メンデルスゾーンの美しい旋律をひとつひとつ大切に紡いでいくような演奏でした。聴いていて心地よくなる位、オーケストラとのコンビネーションが絶妙だったのは、ドレスデンやベルリンでのコンサートマスターの経験がそうさせたのでしょう。大人の円熟味を感じさせる30分はこの曲が改めて名作であることを感じさせてくれました。アンコールで弾かれたバッハも会場の空気がしっとりするような美しい演奏でした。
この日のコンサートマスターは神谷未穂さん。海老原光さんの熱い指揮のもと、仙台フィルはいつもながらの素晴らしいサポートでした。リチャード・リンさんとソヌ・イェゴンさんにとって、第5回仙台国際音楽コンクール優勝者として3年間用意されたイベントとしては、今回のコンサートが最後のものとなり、コンクールは間近に迫った第6回へ向けて、新たな段階に進みます。もちろん、お2人とのご縁はずっと続きますので、これからも仙台で素晴らしい演奏を積み重ねて頂きたいと心から願っています。
トークの後のサイン会にて、左から有希マヌエラ・ヤンケさん、ソヌ・イェゴンさん、リチャード・リンさん
この日はコンサート後、コンクールでは「交流サロン」として使用される交流ホールに場所を移して、「アフタートーク」イベントが開かれました。ナビゲーターは仙台国際音楽コンクール公式サイト「Road to 仙台国際音楽コンクール」の執筆者の一人、音楽ライターの片桐卓也さんでした。その内容を少しご紹介しましょう。
まずは片桐さんより、ご挨拶とコンクール開催中設置される「交流サロン」の紹介がありました。今年は東日本大震災から5年間が経過したことになります。コンクール中「交流サロン」では、その間の「音楽の力による復興センター」の活動の写真をパネルにして展示するコーナーが設けられることも、片桐さんより披露されました。
片桐:リチャード・リンさん、素晴らしい日本語の挨拶をありがとうございます。
リン:皆様、こんにちは(日本語)。私の叔母が台湾の大学で日本語を教えているのです。彼女はお茶の水女子大学で学びました。彼女から勧められ、このコンサートの2週間前から日本語を練習しました。
片桐:第6回コンクールでも課題曲になっている、今日演奏された協奏曲への想いを教えて下さい。
リン:演奏したプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番は、プロコフィエフが25歳で作曲され、その後彼はアメリカに渡ります。私は今その年齢ですし、アメリカに住んでいます。その意味でも、この曲に特別の想いがあり、繋がりを感じます。この曲をオーケストラと演奏するのは今回が初めてですが、とても良い経験になりました。この曲には難しい技術が沢山含まれていますが、私自身、テクニックはあくまでも音楽をサポートするものと考えています。この曲を演奏するに当たり、過去の名演の録音を多く聴き、その解釈を勉強しました。プロコフィエフはこの曲の2楽章で可能な限り、難しい技術を盛り込んでいます。確かに練習は大変でした。実は2週間後に台湾でもこの曲を演奏します。その意味もあって一所懸命準備したので、成果は出せたかと思います。
ソヌ:私が音楽を演奏する理由の一つは、聴衆の皆さんと自分の気持ちや感情を分かち合うことができるということがあります。その意味でも、演奏したシューマンのピアノ協奏曲は素晴らしいと思います。第1楽章の最初のテーマのところから感情に溢れた曲ですね。曲の中にあるどのフレーズをとっても、この曲を選ぶ理由になるほど、魅力的な曲だと思っています。第3楽章については、特に喜びに満ち溢れていて、自分自身も高みを目指して演奏するという醍醐味もあります。この曲には色々な感情が表現されているので、心の旅が味わえる曲だと思います。
ヤンケ:この曲は名作で、ここに座っていらっしゃる方がこれまで一度は聴いたことがある曲だと思います。私にとっても、コンチェルトで初めて全楽章弾いた曲がこのメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲です。8~9歳のころだったでしょうか。子供でも弾けるようなシンプルな曲ですが、シンプルなだけ難しさも有ります。特にこの4~5年、シンプルなものを表現するのがいかに難しいかを実感しています。シンプルさゆえの透き通った音色をいかに色々な形で表現するかというところを一番の課題にしています。第1楽章と第2楽章を繋ぐファゴットのフレーズの間は、前の晩に雨が降って少し湿った空気の中、その後陽が昇る爽やかさをイメージして、第2楽章を待っていました。
片桐:第6回のコンクールのファイナルでは協奏曲を2曲弾かなければなりません。ヴァイオリン部門でのメンデルスゾーンを除いては、選択式になっています。あなたならどの曲を選択しますか?
ヤンケ:難しい質問ですが、好みとしてはプロコフィエフの1番を取ります。でもコンクールでは曲の選択は大切なので、イメージが似ている曲が続くのを避けて、ストラヴィンスキーというところでしょうか。どの曲も難しい曲です。メンデルスゾーンも体力を使う曲なので、もう1曲弾けといわれたら結構堪えそうです。
リン:私が選ぶとしたらプロコフィエフの第2番でしょうか。プロコフィエフは大好きで、今日第1番を弾きましたので、仙台フィルさんと今度は第2番を弾いてみたいです。
ソヌ:モーツァルトの中ではト長調K.453ですね。主な理由としては、弾いたことがあるということですが、とても好きな曲です。もう1曲はリストの1番、2番もよいですね。どの曲も素晴らしい曲ですが、中には結構弾きたくないなという曲もあります(笑)。ラフマニノフの第3番は3年前の第5回コンクールで優勝した曲なので、やはりこちらを選びましょう。
片桐:K453は番号でいうと第17番となりますね。この曲はフランスの作曲家オリビエ・メシアンによると、モーツァルトのあらゆるピアノ協奏曲、またあらゆる作品の中でもっとも完成された作品といってもよいだろうと言っている、素晴らしい作品です。どの曲をとってもモーツァルトは難しいですね。今度のコンクールでは協奏曲2曲のバランスを考えた上で、どうやって自分の個性を表現するか、関心を持って楽しんでいただけたらと思います。
片桐:第6回のコンクールのファイナルでは協奏曲を2曲弾かなければなりません。ヴァイオリン部門でのメンデルスゾーンを除いては、選択式になっています。あなたならどの曲を選択しますか?
ヤンケ:難しい質問ですが、好みとしてはプロコフィエフの1番を取ります。でもコンクールでは曲の選択は大切なので、イメージが似ている曲が続くのを避けて、ストラヴィンスキーというところでしょうか。どの曲も難しい曲です。メンデルスゾーンも体力を使う曲なので、もう1曲弾けといわれたら結構堪えそうです。
リン:私が選ぶとしたらプロコフィエフの第2番でしょうか。プロコフィエフは大好きで、今日第1番を弾きましたので、仙台フィルさんと今度は第2番を弾いてみたいです。
ソヌ:モーツァルトの中ではト長調K.453ですね。主な理由としては、弾いたことがあるということですが、とても好きな曲です。もう1曲はリストの1番、2番もよいですね。どの曲も素晴らしい曲ですが、中には結構弾きたくないなという曲もあります(笑)。ラフマニノフの第3番は3年前の第5回コンクールで優勝した曲なので、やはりこちらを選びましょう。
片桐:K453は番号でいうと第17番となりますね。この曲はフランスの作曲家オリビエ・メシアンによると、モーツァルトのあらゆるピアノ協奏曲、またあらゆる作品の中でもっとも完成された作品といってもよいだろうと言っている、素晴らしい作品です。どの曲をとってもモーツァルトは難しいですね。今度のコンクールでは協奏曲2曲のバランスを考えた上で、どうやって自分の個性を表現するか、関心を持って楽しんでいただけたらと思います。
この後、3人の最近の活動についての紹介がありました。コンサートマスターの経験がソロ活動にも好い影響を与えているというヤンケさん。4月、日本にてギターとの協演でシューベルトのアルペジオーネソナタの公演をひかえているそうです。仙台での優勝後、世界各地で演奏機会が増えているというソヌさん。今、韓国のクムホアートホールでの5回に渡るコンサートシリーズ(継続中)に意欲を燃やしています。故郷の台湾、今住んでいるニューヨーク、そして仙台の3つが我が家と思えるというリチャードさん。仙台の優勝が昨日のことの様に鮮明に思い出され、仙台に来るたびに戻ってきたという気持ちになるそうです。昨年5月ジュリアードを卒業し、先生に頼らず全てを自分で決めるという生活を楽しんでいるとのことでした。
広報宣伝サポートボランティア 岡
広報宣伝サポートボランティア 岡


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