2015年3月1日日曜日

宮城教育大学交響楽団 第8回定期演奏会

2月27日、日立システムズホール仙台(青年文化センター)で開催された、宮城教育大学交響楽団の定期演奏会を聴いてきました。

宮城教育大学交響楽団
第8回定期演奏会
「新世界より」
プログラム
  ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番  ハ短調 op.18
  ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」 ホ短調 op.95
  アンコール
   ドヴォルザーク/スラブ舞曲第1集より第8番
  
  指 揮 日比野裕幸(宮城教育大学教授)
  ピアノ  増村海香(宮城教育大学大学院2年)


プログラムの1曲目はラフマニノフの作品の中でも特に有名なピアノ協奏曲第2番でした。ピアノソロは増村海香さん。増村さんは宮城教育大学大学院2年在学中で、当日のプログラムによるとラフマニノフ2番は修士課程の課題曲とのことです。葡萄色のドレスに身を包んだ増村さん。スタイルは細身ですが、最初の鐘を想像させる和音を力強く弾き始め、すぐに私たちを音楽に引き込みました。背筋を伸ばして弾く姿とストレートで小細工のないクリスタルな音はとてもマッチしていて、ロシアの美しい景色が目の前に現れるようでした。オーケストラも最初は緊張のせいか硬い印象を受けましたが、楽章が進むにつれて音に厚みが増し、最後は豊饒なサウンドで増村さんをバックアップしていました。大学院の修了を控え、新たな旅立ちを目前にしている増村さん。様々な想いが込められたカーテンコールでの涙が爽やかでした。


休憩をはさんで、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」が演奏されました。この曲は宮城教育大学交響楽団がホストオーケストラを務めた、1月12日のパスカル・ヴェロさん(仙台フィル常任指揮者)による指揮講習会での課題曲でした。その時にヴェロさんが「新世界より」の特徴や演奏の難しさを説明されたので、すでに聴きつくされた感のあるこの曲を興味深く、新鮮な気持ちで聴くことができました。後半のプログラムということで、オーケストラの緊張もすっかり解けて、日比野先生の情熱的な指揮の下、きちんとコントロールされた力演を楽しむことができました。


第1楽章では中間の浮遊感を感じさせる陶酔的な弦楽アンサンブルの部分に聴き入りました。そして最後のテンポをぐんぐん増していく部分の迫力にも惹かれました。第2楽章、第3楽章ではこのオーケストラの木管群の素晴らしさに魅せられました。どの奏者も自然にオーケストラに溶け込むとともに、ソロになるとまろやかな香気を感じる歌を聴かせてくれました。第3楽章のトリルのパッセージを交互に奏でる部分の美しさは特筆に値すると思います。第4楽章もすべてのパートが躍動して曲を締めくくって、爽やかな後味を伴った感動をもらいました。


全編通して、ヴェロさんが指揮講習会で力説していたこの曲の核をなしている「舞曲」を意識しながら聴くと、今まで見えていなかった魅力を改めて実感しました。そして、このオーケストラは、それを感じさせてくれる「楽しさ」もしっかり表現された演奏をしてくれたと思います。カーテンコールの最後に数人の団員が退場したと思ったら、花を抱えて出てきて、別の団員数名に渡しました。たぶん、卒業、修了を控えた団員に手渡したのでしょう。皆さんの晴れやかな笑顔を見て、自分も学生時代、母校のオーケストラに入ればよかったと今更ながら後悔しました。


休憩時間にプログラムの中の次回定演の案内を見て、飛び上るほど驚きました。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のソリストにアンナ・サフキナの名前があるではありませんか。そうです。第5回仙台国際音楽コンクール第4位になったサフキナさんです!次回の定演はこのオーケストラのファンだけでなく、仙台のコンクールファンやボランティアにとっても必須です。今回の定演もほぼ満席でしたので、次回の定演では早めのチケット購入をお忘れなく!
第5回コンクール入賞記者会見でのサフキナさん



宮城教育大学交響楽団第9回定期演奏会 
 
 日時: 2015年8月9日(日) 14:00開演

 場所: 日立システムズホール仙台(青年文化センター)
      コンサートホール

 曲目: チャイコフスキー/
       歌劇「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズ
       ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
       交響曲第2番「小ロシア」 ハ短調 op.17

 指揮: 日比野裕幸

 ヴァイオリンソロ: アンナ・サフキナ






広報宣伝サポートボランティア  岡
     

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