仙台市民の一員としてがんばっていきます!
(以前、コンクール広報紙でインタビューさせていただいた際の写真です)
12月9日(火)、仙台市宮城野区文化センターPaToNaホールで、仙台フィルコンサートマスター西本幸弘さんのリサイタルが開催され、参加してきました。
西本幸弘
リサイタルシリーズ
VIOLINable ディスカバリー vol.1
プログラム
ベートーヴェン/ヴァイオリンソナタ第1番 ニ長調
クライスラー/愛の喜び・タンゴ・ウィーン奇想曲
ヴィターリ/シャコンヌ
リヒャルト・シュトラウス/ヴァイオリンソナタ 変ホ長調
リヒャルト・シュトラウス/明日 (アンコール)
仙台フィルのコンサートマスターに就任して3年目の西本幸弘さんのソロリサイタルと聞いて、大変楽しみにして会場に足を運びました。最初に西本さんがスピーチされ、このリサイタルが全10回シリーズを予定していること、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ全曲を取り上げること、そしてこのリサイタルシリーズと同時並行で独自の復興支援音楽プロジェクトを遂行していくことが発表され、会場は期待から一気に高揚感に包まれました。リサイタルのテーマは「VIOLINable」。ヴァイオリンの可能性と適合性を探っていくという意味を言葉にしたとのことです。サブテーマは「ディスカバリー」。これまでの人生での様々な発見、そして30代になった、これからの10年の発見を音楽に反映させていきたいとの決意が語られました。その後も前半は随所に西本さんのトークを交えながら、和やかかつ熱い雰囲気でリサイタルが進められました。
西本さんはご自身の利点を「元気で勢いがあること」とおっしゃっていましたが、演奏もその通りで、かつ力強く、骨太で美しい音に貫かれていました。舞台に立つ西本さんの重心が崩れない姿勢が素晴らしく見ていて美しかったのですが、奏でられる音楽もがっしりした安定感があり、一本筋が通っている大きなスケール感が美音を支えて、安心して音楽に身を浸せることができました。
ベートーヴェンはそんな西本さんにピッタリで、力強く前へ進んでいく演奏でした。第2楽章は変奏スタイルで書かれているのですが、その半ばテンポを上げてヴァイオリンが活躍する場面では音楽がどんどん凝縮して、会場が音楽に集中して聴き入り、ヴォルテージが一気に上がりました。ベートーヴェンのあと、クライスラーのそれぞれ個性のある有名な3つの小品が披露され、前半の白眉は何といってもヴィターリの「シャコンヌ」だったと思います。17世紀の作品とは思えないほどロマンに満ちた曲を西本さんは真正面からしみじみとした深い音色で聴かせてくれました。まさに魂がこもった演奏で会場からは熱い拍手とブラボーの声が沸き起こりました。

休憩時間、ホワイエで展示されている数々の絵を見ました。これは西本さんが被災地のオーケストラ仙台フィルのコンサートマスターとして何ができるかを考えた末に企画された「復興支援音楽プロジェクト」を具体的に実践された成果です。この絵は仙台市内でアートを中心とした創造活動を通して子供達の成長を支援する活動を行っている「ハード&アート空間ビーアイ」さんに通う子供達が描いたものです。西本さんはここでワークショップを行い、子供達にクライスラーの「愛の喜び」を聴かせ、それを子供達が音に色を付けて、絵画という作品にしていったそうです。子供達には「愛の喜び」というタイトルも曲の内容も教えずに演奏を聴かせたとのことですが、その作品には様々な色彩感と豊かな感情に満ちていて、その感性に驚かされました。この日のコンサートには絵を描いた子供達も招待されて、音楽を楽しんでいました。西本さんはこれからもリサイタルと並行して、「豊かな感性を育てる」活動を継続していくとのことで、是非応援していきたいと思います。
後半はリヒャルト・シュトラウスのヴァイオリンソナタ。前半の安定感はそのままに、シュトラウスの音楽の色気も表現されていました。第1楽章の気品のあるゴージャスな雰囲気の中に、時に切なさが現れる瞬間の美しさ、第2楽章の陶酔感、第3楽章のスケール感も全て素晴らしく、リサイタルの初回を締めくくりました。最後には来場した聴衆の未来のために同じくシュトラウスの「明日」がアンコールとしてプレゼントされました。シュトラウスのソナタはピアノの活躍も目立っていましたが、今回共演された山中惇史さんのクリスタルな音色でひらめきに満ちたサポートも光っていたことは忘れずに記しておきます。
西本さんの音色のもう一つの特長は「爽快感」でしょうか。その音色は美しい力強さに加えて、いつも健康的で、聴いている私たちを前向きな気持ちにさせてくれます。 これからも仙台フィルのコンサートマスターとして、そして一人のヴァイオリニストとして、私たちに音楽のよろこびを与え続けてほしいと願っています。リサイタルの最後に「仙台市民の一員として、がんばっていきます」という力強いメッセージが述べられ、会場からは熱気がこもった拍手がいつまでも続きました。
仙台フィルのコンサートマスターに就任して3年目の西本幸弘さんのソロリサイタルと聞いて、大変楽しみにして会場に足を運びました。最初に西本さんがスピーチされ、このリサイタルが全10回シリーズを予定していること、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ全曲を取り上げること、そしてこのリサイタルシリーズと同時並行で独自の復興支援音楽プロジェクトを遂行していくことが発表され、会場は期待から一気に高揚感に包まれました。リサイタルのテーマは「VIOLINable」。ヴァイオリンの可能性と適合性を探っていくという意味を言葉にしたとのことです。サブテーマは「ディスカバリー」。これまでの人生での様々な発見、そして30代になった、これからの10年の発見を音楽に反映させていきたいとの決意が語られました。その後も前半は随所に西本さんのトークを交えながら、和やかかつ熱い雰囲気でリサイタルが進められました。
西本さんはご自身の利点を「元気で勢いがあること」とおっしゃっていましたが、演奏もその通りで、かつ力強く、骨太で美しい音に貫かれていました。舞台に立つ西本さんの重心が崩れない姿勢が素晴らしく見ていて美しかったのですが、奏でられる音楽もがっしりした安定感があり、一本筋が通っている大きなスケール感が美音を支えて、安心して音楽に身を浸せることができました。
ベートーヴェンはそんな西本さんにピッタリで、力強く前へ進んでいく演奏でした。第2楽章は変奏スタイルで書かれているのですが、その半ばテンポを上げてヴァイオリンが活躍する場面では音楽がどんどん凝縮して、会場が音楽に集中して聴き入り、ヴォルテージが一気に上がりました。ベートーヴェンのあと、クライスラーのそれぞれ個性のある有名な3つの小品が披露され、前半の白眉は何といってもヴィターリの「シャコンヌ」だったと思います。17世紀の作品とは思えないほどロマンに満ちた曲を西本さんは真正面からしみじみとした深い音色で聴かせてくれました。まさに魂がこもった演奏で会場からは熱い拍手とブラボーの声が沸き起こりました。

休憩時間、ホワイエで展示されている数々の絵を見ました。これは西本さんが被災地のオーケストラ仙台フィルのコンサートマスターとして何ができるかを考えた末に企画された「復興支援音楽プロジェクト」を具体的に実践された成果です。この絵は仙台市内でアートを中心とした創造活動を通して子供達の成長を支援する活動を行っている「ハード&アート空間ビーアイ」さんに通う子供達が描いたものです。西本さんはここでワークショップを行い、子供達にクライスラーの「愛の喜び」を聴かせ、それを子供達が音に色を付けて、絵画という作品にしていったそうです。子供達には「愛の喜び」というタイトルも曲の内容も教えずに演奏を聴かせたとのことですが、その作品には様々な色彩感と豊かな感情に満ちていて、その感性に驚かされました。この日のコンサートには絵を描いた子供達も招待されて、音楽を楽しんでいました。西本さんはこれからもリサイタルと並行して、「豊かな感性を育てる」活動を継続していくとのことで、是非応援していきたいと思います。
後半はリヒャルト・シュトラウスのヴァイオリンソナタ。前半の安定感はそのままに、シュトラウスの音楽の色気も表現されていました。第1楽章の気品のあるゴージャスな雰囲気の中に、時に切なさが現れる瞬間の美しさ、第2楽章の陶酔感、第3楽章のスケール感も全て素晴らしく、リサイタルの初回を締めくくりました。最後には来場した聴衆の未来のために同じくシュトラウスの「明日」がアンコールとしてプレゼントされました。シュトラウスのソナタはピアノの活躍も目立っていましたが、今回共演された山中惇史さんのクリスタルな音色でひらめきに満ちたサポートも光っていたことは忘れずに記しておきます。
西本さんの音色のもう一つの特長は「爽快感」でしょうか。その音色は美しい力強さに加えて、いつも健康的で、聴いている私たちを前向きな気持ちにさせてくれます。 これからも仙台フィルのコンサートマスターとして、そして一人のヴァイオリニストとして、私たちに音楽のよろこびを与え続けてほしいと願っています。リサイタルの最後に「仙台市民の一員として、がんばっていきます」という力強いメッセージが述べられ、会場からは熱気がこもった拍手がいつまでも続きました。
会場では前述した復興支援活動の基金にもなるオリジナルクリアファイルや西本さんご自身が書かれたポストカードも販売されていました。私も購入し、西本さん、山中さんのサインを求める長い列に並ばせて頂きました。
広報宣伝サポートボランティア 岡




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