第5回仙台国際音楽コンクール優勝者記念リサイタル東京公演まで、また1日近づいてきました。もう来週の木曜日、金曜日なのですね。2人の晴れ舞台、待ちきれません。
さて昨日に引き続いて、本日は第5回国際音楽コンクールピアノ部門の優勝者ソヌ・イェゴンさんのインタビューを掲載いたします。今日掲載するのは1年前の仙台でのコンクールの最終日、6月30日の入賞記念ガラコンサート終了後に行われた合同記者会見でのインタビューの内容です。部分的には新聞や音楽雑誌等で公表されている内容ですが、インタビュー全編を掲載するのは今回が初めてかもしれません。最新のことは書かれていませんが、コンクールの際の選曲理由から、ピアノを始めたきっかけやジュリアード音楽院(当時)での研鑽の様子まで、ソヌ・イェゴンさんの人となりや音楽観がよく理解できる内容となっておりますので、一読すれば20日のリサイタルをより一層共感して、お楽しみいただけるのではと思います。
ソヌ・イェゴンさんの優勝者記念リサイタル東京公演は6月20日(金)、浜離宮朝日ホールで19:00開演となっております。モーツァルトからラフマニノフまで、幅広い時代のピアノの名品を集めた贅沢なプログラムが組まれています。仙台のコンクールニュースレター2014年4月号によりますと、メインプログラムのラフマニノフピアノソナタ第2番はソヌさん13歳で虜となり、いつの日かリサイタルで弾きたいと夢見てきた作品だそうで、絶対に聴き逃せませんね。当日はひとりでも多くの方が会場に足をお運びいただき、ソヌ・イェゴンさんを応援していただければ、嬉しく思います。
予選でシューベルトとラヴェルの「ラ・ヴァルス」を選んだ理由は何ですか?
ラヴェルの「ラ・ヴァルス」を選んだ理由は、この曲はすでに弾き込んでいたからです。これまでコンサートやコンクールの度に、できるだけこの曲を入れようと心掛けてきました。コンクールの第一段階の審査というのは非常に重要だと思います。登るのが難しい階段のようなもので、全てを知り尽くして完璧に弾けるもので挑戦ようと思っていました。その点で、私にとってラヴェルの「ラ・ヴァルス」は熟知している曲といえたのです。最初にシューベルトを選曲していたので、残りは12分程時間がありましたので、時間的にもちょうど良いと思いました。どちらも私自身、大変好きな曲です。
ヤマハのピアノを使われた理由は?
実際、ピアノを選択するときに悩みましたが、全てのピアノに触れて、一番自分が心地よいというか、楽な気持ちで弾けるというか、馴染んだ感じがしたのでヤマハを選びました。シューベルトとラヴェルの幾つかの部分を演奏してみたのですが、音色や音の重なりなども一番しっくりして、自分が最も心地よく弾けると感じました。
普段からヤマハを使っているのですか?
普段、アメリカではスタインウェイを使っています。慣れているのはスタインウェイですが、このコンクールで初めてヤマハがとても弾きやすいと感じました。
昨日のラフマニノフピアノ協奏曲3番を聴いて、6人の出場者の中で、あなたが協奏曲に一番慣れていると感じました。協奏曲の演奏の経験は多くお持ちなのでしょうか?
実は、ラフマニノフの3番はオーケストラと2~3回弾いたことのある曲なのです。ですから、気分的にもかなり楽に弾けたと思います。私は室内楽がとても好きで、コンチェルトをオーケストラと演奏するときも自分の音楽だけを考えるのではなくて、室内楽の時のように、皆さんと合わせるということを中心に考えて弾きます。好きな室内楽の時と同じように、他の音楽家の方がどのように演奏するかということに重きを置いて演奏しますので、そういう面から「慣れている」と感じて頂けたかもしれません。
ファイナルでベートーヴェンの「皇帝」も選択肢にいれておられましたが、もし「皇帝」の方を弾いたとしたら、違った結果になったと思いますか?
セミファイナルでは、なぜモーツァルトの協奏曲ハ長調K.467を選択したのですか?
課題曲の中にはモーツァルトの協奏曲が6曲ありましたが、その中ではこのハ長調が一番よく弾けると思い選びました。師事していたシーモア・リプキン先生に相談したら、同意していただき、しかも先生のカデンツァも演奏できるということで、その点でも幸運に思いました。協奏曲は全般的に好きなのですが、その中でもこの曲は非常に好きで、個人的にも愛着を感じる曲でした。
沢山のオーケストラと共演した経験がある中で、仙台フィルにはどの様な印象を持たれましたか。
仙台フィルは非常に高いレベルのオーケストラだと思いました。共演して、とても演奏しやすかった印象があります。オーケストラと一緒に演奏する時は、多くの大きな難しい問題に直面することがあります。特にラフマニノフの協奏曲はオーケストラの演奏も難易度が高いと思います。でも仙台フィルは私がより良く弾けるように、本当に協力的に演奏してくれたと感じています。例えば、私が少しテンポを上げたいなと思いますと、即坐にそれを察知して合わせてくださいました。一緒に演奏していて、私自身本当に楽しむことができました。仙台フィルと演奏できたことは、私の最も素晴らしい経験のひとつになったと感じています。
お姉さんの影響でピアノを始めたということですが、本格的に音楽家になろうと思ったのはいつ頃ですか?
はい。8歳の時、姉の影響でピアノを始めました。音楽学校に通い始めた最初の1~2年は、年下の子供達が自分より進んだ勉強をしていて、とても嫉妬心というか競争心が湧いて、多くの練習を自分に課すようになり、シューベルトやモーツァルトのソナタなどの難しい曲にもどんどんチャレンジしていくようになりました。ピアノを将来の仕事にしたいと思ったのは確か、音楽学校に入って4年目の12歳位の時だったと思います。
その後15歳の時、単身で渡米されたのですか?
最初は母と一緒にアメリカに渡りました。というのは、確かアメリカは16歳にならないと一人で暮らしができないという制約があったからです。私たちは学校から歩いて5分位の近いところに一緒に住むことになりました。最初の1~2ヶ月の間、母と一緒に暮したのですが、その後1~2年間、母は韓国と米国を往復する状態が続きました。2年後、勉強に集中するためには自分一人の方がいいからと伝え、一人暮らしをはじめました。
ご家族は?
姉が二人おります。3歳上と5歳上です。ピアノを弾くきっかけになったのは両方の姉の影響です。母は主婦、父はアパレル関係の仕事をしています。
12歳でピアニストになる決心をして、15歳で渡米。その間3年間ですね。カーティスに留学することに決めたのはなぜですか?
韓国で習っていたピアノの先生がジュリアード音楽院で学士とマスターを習得していたので、アメリカの状況をよく知っていたのです。それまで韓国の音楽学校に通っていた訳ですが、卒業の時期を迎えるに当って、その先生が私の母に、海外でピアノの教育を受けることができたら素晴らしいと薦めてくれました。その中でもカーティス音楽院は音楽教育という面で非常に優れている学校なので素晴らしいと提案してくれました。私自身は特に具体的な留学先は考えていなかったのですが、先生の薦めが大きかったと思います。
韓国の先生はどなただったのですか?
シン・ミンジャ先生とキム・スンファ先生です。
ヴァイオリン部門で優勝されたリチャード・リンさんもカーティス音楽院で学ばれていますが、友達かお知り合いですか?
リチャード・リンさんのことは知っています。彼は私が卒業する年かその前の年に入学したと記憶しています。カーティス音楽院は人数が多くなく、小さい学校です。彼とも2~3回は話したことがあります。それほど親しい関係ではありませんが、共通の友達もいます。
今、ジュリアードではどんな勉強をされていますか?
マスターの資格を修得したところで、具体的にはキーボードスタディ、音楽理論や音楽史、それから2~3のセミナーを受講しています。20世紀のピアニストのコース(演奏を聴いてのディスカッション)、シェンカー理論による分析法なども学習しています。
得意な作曲家は誰ですか?そして将来どんな演奏家になりたいですか?
その時によって変わりますが、今はシューベルトが最も好きです。痛々しいほど美しい曲が多いので、とても気に入っています。ベートーヴェン、モーツァルト、バッハも好きです。将来は聴衆の心を震えさせられるような音楽家になりたいですね。ただ単に楽器を弾くということではなく、聴衆の心に訴えかけられるような、そして心を揺さぶることができるような音楽家になりたいと思います。何人かのピアノストの演奏を聴いて、非常にショックを受けたり、感動したり、心打たれたりという経験がありますので、そのような音楽家になりたいと思います。得意な作曲家という質問がありましたが、その答えは難しいです。どの作曲家も演奏するのは難しいと感じますが、何人かの人から、私は古典派や大曲が向いているといわれたことがあります。
今日のガラコンサートでは昨日と同じ曲を弾いたのですが、優勝して弾く気分はどうですか?
今日は身体も疲れておりましたので、昨夜の方がよい演奏ができたのではないかと思います。特に昨夜は午前3時位に寝まして、今日は朝7時には起きなければならなかったので、睡眠時間が4時間しか取れず、非常に疲れた状態で今日の演奏に臨みました。もっと睡眠時間を取るべきではありましたけれど・・・・。
入賞会見でコーヒーやワインが好きと伺いましたが、好きなワインの銘柄やヴィンテージはありますか?
優勝賞金をすべてワインにつぎ込むというプランはないですか?
全部は使いませんが(笑)、そのうちの一部は使うかもしれません。
2位になったソ・ヒョンミンさんとはジュリアード音楽院で同窓だと思うのですが、昨日の結果についてコメントはありますか?
ヒョンミンさんはとても仲の良い友達で、私は彼の音楽を非常に尊敬しています。素晴らしいピアニストだと思います。彼も結果については満足していたようなので、私もうれしいです。
ジュリアードで師事したロバート・マクドナルド先生は教師としてはどんな方ですか?
マクドナルド先生のもとで2年間学んできたのですが、私はとても幸運だったと思います。指導の際に演奏していると、先生は気になったところですぐ止めて、もっと良く演奏するためのアドバイスをしてくれて、時には自分で弾いて教えてくれました。今回、シューベルトの第2楽章の主題の部分を教えていただいた時、先生の模範演奏を聴いて思わず涙が出そうになりました。先生は素晴らしい指導者で生徒一人一人の個性に合った指導をしてくれます。もちろんご自身のアイディアをお持ちなのですが、決して自分のやり方を押しつけるという形ではなく、非常にフレキシブルな指導をしてくれる人です。特に印象的なことは、先生が非常に良い耳を持っているということでした。音のコントロールや幅で至らない点があれば、すぐに気付いて「自分の耳を使いなさい」と指導してくれます。私はこのことでどれだけ役立ったか分かりません。自分の音を聴いているけれども聴き流している、本当に聴いているということなしに演奏するということはよく有りがちなので、そういう点でマクドナルド先生についたことは本当に良かったと思っています。
広報宣伝サポートボランティア 岡
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