
6月13日と14日の2日間、日立システムズホール仙台で第283回仙台フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会があり、私は14日の公演を聴いてきました。
今回の指揮は常任指揮者のパスカル・ヴェロさん。協奏曲でのソリストは第5回仙台国際音楽コンクールピアノ部門優勝者のソヌ・イェゴンさんでした。ソヌさんは昨年6月のコンクール、12月の記念リサイタルに続く、3回目の来仙。仙台フィルとの共演は1年振りということで、期待大の定演でした。
出演
指揮/パスカル・ヴェロ
ピアノ独奏/ソヌ・イェゴン
仙台フィルハーモニー管弦楽団
プログラム
モーツァルト/ピアノ協奏曲第26番「戴冠式」
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番
今回のコンサートマスターは西本幸弘さん、神谷未穂さんのお二人です。コンサートマスターのお二人が揃って最前列に座るのは珍しく、この定演にかける仙台フィルの意気込みを感じました。
プログラム前半はモーツァルトのピアノ協奏曲第26番「戴冠式」。モーツァルトの協奏曲の中でも、特に軽快で分かりやすい曲でした。ソヌさんの演奏は昨年のセミファイナルで弾いた第21番の協奏曲同様、華麗だけれども整った、モーツァルトの様式に則ったものでした。ソヌさんの音はいつも輝くように美しく、かつ全ての音が揃い、細心の配慮が払われています。そして、何よりも優しい音で心が癒されるのです。それは、音楽が盛り上がった早いパッセージの際も変わらず、聴いている私たちは安心して音楽の中に身を置くことができます。フィナーレが終わると、熱を帯びた拍手がゆっくりとボルテージを上げて、いつまでも続きました。この拍手のパターンは仙台特有の真に演奏が良かった時に見られるもので、会場全体で、ソヌさんの来仙を心から歓迎している気持ちを表しているように思いました。拍手に応えて、ソヌさんはアンコールでチャイコフスキーの「四季」から「舟歌」を演奏してくれました。前日の定演でも拍手が続いて、アンコールにリストが演奏されたと聞きました。今週20日には、いよいよ東京での優勝記念リサイタル、22日には仙台でのボランティア企画「トーク&コンサート」(応募は締め切られています)が控えており、ソヌさんの演奏を聴ける楽しみはまだまだ続きます。
後半はショスタコーヴィチの交響曲第5番。冒頭の各弦パートの掛け合いから、ものすごい緊張感が伝わってきました。今回は定演前の土曜日、ヴェロさんがわざわざレクチャーを開催してまでして臨んだショスタコーヴィチ。昨年のロシア公演からの流れもあり、ヴェロさんのロシア音楽への並々ならぬ意欲を最初から感じました。私ももちろんレクチャーに参加したので、各楽章のヴェロさんの解釈、そしてそれを的確に音にした仙台フィルの凄さに心より感動を覚えました。もし、レクチャーに参加していなかったとしても、演奏の素晴らしさに大きな感銘を受けたでしょう。でも、ショスタコーヴィチが置かれた状況や友人との手紙から、ヴェロさんが熱く語ったショスタコーヴィチがこの曲で表現したかった意図を反芻しながら聴くと、感動も別次元となりました。単純な感激でなく、曲に込められた諧謔やパロディも含めたより深い味わいの感動と言えるでしょうか。仙台フィルの弦の美しさは本物ですね。第3楽章の最後の2つの和音は心震え、涙が抑えられませんでした。そしてこの曲で再認識したのは、ヴァイオリンは弦をこすって音を出す楽器だと言う事。それほどこの曲は狂ったように高音で小刻みに弦をこする表現が多用されています。それが意味するところもヴェロさんのレクチャーを聞いた人には十分に理解できたことでしょう。2日もこの曲を弾いて、弦パートの皆さんの手は大丈夫だったかと心配になるほどでしたが、それはプロの皆さんに対して失礼というものですね。弦だけでなく、各パートの健闘は尋常でなく、終演後ヴェロさんが全ての楽団員を讃えて、ねぎらっていたのも頷けます。今回も木管群の美しさを堪能しました。オーケストラの全奏の合間にふと聴こえてくる仙台フィルの木管群のフレーズにはいつも心奪われる魅力があります。そして金管、打楽器も一丸となって、ヴェロさんの解釈を実現することに奉仕する各パートの熱演に接して、各楽器の表現力を引き出すショスタコーヴィチの真の天才性を感じました。終演時、普段はロビーで見送りしていただける楽団員の皆さんに心の中で拍手するだけなのですが、今回はあまりに感激して思わずヴェロさんに「今回の演奏は最高に素晴らしかった。あなたのレクチャーと同じように!」と言葉で伝えました。ヴェロさんが私たちのマエストロでいてくれることに感謝したいと思います。ありがとうございました。
今回のプログラムの中に、次回のヴェロさん担当の定演前もレクチャーを準備してくれていることが書かれたチラシを見つけました。今度のテーマはプロコフィエフの交響曲第5番。次回の課題にも「10月の定期演奏会を10倍楽しむために」という仮題が付けられていますが、次回のレクチャーを聞いたら絶対10倍ではとどまらないことは、今回参加した私がお約束します。次回ヴェロさん担当の定演は10月24、25日。ヴェロさんによるレクチャーは10月19日(日)が予定されています。次回は是非ご一緒に聴講しましょう(今回のレクチャーの内容全編を仙台フィルのHPで読むことができます)。
広報宣伝サポートボランティア 岡
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