まずは出場者が客席側に入場し、最前列へ着席します。式典が始まるまで隣り合った出場者同士で会話を交わしており、緊張感がありつつも和やかな雰囲気です。その後舞台上には、コンクール組織委員会会長の郡和子仙台市長、運営委員長の植田克己先生、ピアノ部門審査委員長の野平一郎先生をはじめとした審査委員の先生方が揃いました。
郡和子仙台市長からの挨拶
仙台国際音楽コンクールの主催者を代表して、一言ご挨拶を申し上げます。5月24日にヴァイオリン部門、そして6月14日にピアノ部門が開幕をいたしまして今回のコンクールが行われましたが、本日をもって全ての審査日程が終了いたしました。
今回のピアノ部門では世界各国から400名を超える出場申し込みをいただいたんです。歴代入賞者の目覚ましい活躍もあって若手音楽家の登竜門として、世界から多くの方々に関心を寄せていただいていることを大変嬉しく思います。
このあと、いよいよ審査結果の発表がございます。世界中からここ仙台の地に集い、真摯に音楽と向き合い、素晴らしい演奏を届けてくださった全ての出場者の皆様方、そしてここにお迎えをしております6名のファイナリストの皆様方、その努力を称えまして、心から拍手を送りたいと思います。
そしてただいまご登壇をいただいております、植田運営委員長、野平審査委員長はじめとする審査委員の先生方には大変過密なスケジュールのなか、円滑な運営に多大なる尽力をいただきまして心から感謝を申し上げます。最後に、献身的な演奏で出場者に寄り添ってくださった仙台フィルハーモニー管弦楽団の皆様、そして指揮をしてくださった高関健先生、また出場者の皆さん方を温かく応援してくださったご来場の皆様方、また、きめ細かなホスピタリティで運営を支えてくださいましたボランティアの皆様、そしてこのコンクールへのご支援、ご協力をいただきました全ての皆様方に心から御礼を申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。
続いて運営委員長、および審査委員の紹介が行われました。
野平一郎審査委員長より、全体講評ならびに審査結果の発表です。
第9回仙台国際音楽コンクールピアノ部門のファイナルが無事終了いたしました。6月14日に始まりましたこのコンクールがちょうど二週間かけて今日の日を迎えることができましたのはまずひとえに審査委員の先生方の努力によるものと思っております。改めてここで審査委員長として深い感謝の意を表明したいと思います。ありがとうございました。
このピアノ部門を総括しようと思いますと、まず今年の1月に行われた予備審査のことを考えずにはいられません。今年は先ほども郡仙台市長からご紹介がありましたように、34の国や地域から445人と多数の応募があり、一週間以上朝から晩までビデオ審査をいたしました。
一緒に審査いたしました副委員長の海老彰子先生は、3年前の前回のコンクールの予備審査でも審査いただいたわけですが、毎日のように前回の応募者もすごかったけれども今年の応募者はさらに技術的に高い水準の人たちが集まっていると評され、私も本当に同感でした。やむを得ず、と申しておきますか、結果として44人の若きピアニストたちを仙台にお呼びすることとなりました。
さて、仙台の予選ラウンドですが、こうした予備審査で感じられた印象が本当に現実のものとなり、各ピアニストたちの興味深いプログラムと演奏で楽しませていただきました。もはや若いピアニストたちのミニフェスティバルを聴いているような、そんな印象を持ちました。残念ながらセミファイナルに進めなかったピアニストの中にも、素晴らしい才能を感じさせる人たちがいたことは、必ず言っておかなければならないと思います。
さらにセミファイナルの課題、そしてファイナルの課題のひとつはモーツァルトの協奏曲でした。ここで参加者はピアニストである前にまず音楽家としての素質・資質を問われることとなりました。彼らが持つ高い技術力をもってすれば、難なく乗り越えられる課題でしたが、もう少しオーケストラをよく聴いてほしい、彼らと一緒に演奏してほしいということを言いたいと思います。自分一人で突っ走っても、協奏曲はソリストだけを弾くようには作曲されていません。オーケストラと協調できるおかげでわれわれはモーツァルトが要求する音楽の哲学をきちんと伝えることができるピアニストを選ぶことができると思います。
6人のファイナリストたちの演奏はすでにお客様にも聴いていただいたとおり、特に自由選択曲を通して各自の音楽的特徴を十二分に発揮してくれました。各自に課題はありますが、ピアノ協奏曲というジャンルが持つ魅力をファイナリストは存分に解き明かそうとしていたように思います。
なお審査はおおむねスムーズに行われたことを、ここにご報告しておきたいと思います。コンクールに当然結果は付き物ですけれども、まず言っておかなければならないことはこのファイナルを含めてコンクールが提示した全ての課題を全ての参加者が大変真摯に受け止め、準備をされ素晴らしい演奏をされたということです。このことについては審査委員一同、参加者たちに最大限の称賛を送りたいと思います。そして同様に仙台フィルハーモニー管弦楽団の皆様と、指揮を務められた高関健先生の参加者に寄り添った温かいサポートを我々一同深く感謝したいと思います。若いピアニスト達にとって短期間で3曲の異なった協奏曲を弾くという得難い経験をさらに実のあるものにしてくださったことは想像に難くありません。さらに事務局スタッフやボランティアの方々、通訳の方々など多くの人々によってどれだけ参加者が日本での滞在やリハーサルがスムーズに行えたかわかりません。審査委員からも深く感謝を申し上げます。簡単ではありますが、これで講評とさせていただいて、この後審査結果の発表に移りたいと思います。ありがとうございました。
第6位 ヤン・ニコヴィッチ さん(クロアチア)
第5位 島多 璃音 さん(日本)
第4位 ユリアン・ガスト さん(ドイツ)
第3位 天野 薫 さん(日本)
第2位 アレクサンドル・クリチコ さん(ロシア)
第1位 エリザヴェータ・ウクラインスカヤ さん(ロシア)
続いて、セミファイナリストから、注目すべき才能を示した出場者に贈られる審査委員奨励賞の発表です。
審査委員奨励賞 ぺ・ジヌ さん(韓国)
(ぺ・ジヌさんは都合により出席ができなかったため、名前のみ紹介となりました。)
そしてセミファイナルで聴衆の投票で選ばれた聴衆賞の発表です。
セミファイナル1日目 エリザヴェータ・ウクラインスカヤ さん(ロシア)
セミファイナル2日目 アレクサンドル・クリチコ さん(ロシア)
セミファイナル3日目 天野 薫 さん(日本)
今回は上位入賞者全員が聴衆賞も受賞しました。
仙台市長から入賞者の方々へ記念品を贈呈
HIROガラス工房(仙台市)の丹野幸広さんが制作した特製グラスが、宮城県の伝統工芸品である若柳地織(栗原市)の巾着袋と合わせて贈られ、表彰式は終了となりました。
式典終了後、各審査委員から入賞者へひとりずつ祝福の言葉をかけられていました。
入賞者は国籍・年齢もさまざまで一人ひとりの個性が際立っていて、野平先生が講評のなかでお話しされていたとおり、コンクールというよりもまさにピアノフェスティバルといった印象でした。毎週末の予選・セミファイナル・ファイナル以外にも、チャレンジャーズ・ライヴやマスタークラスなどで、音楽と真剣に向き合う世界中から集まった若者たちの姿を目にすることも楽しいひとときでした。すべての出場者の皆さんの今後の活躍を楽しみにしています!
広報宣伝サポートボランティア 川村

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