3月2日(金)、第7回仙台国際音楽コンクール関連事業「コンサートマスターと出場者が語る仙台国際音楽コンクール」に参加しました。このイベントは仙台フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターとして第5~6回仙台国際音楽コンクールを支えて頂いた西本幸弘さん、第6回仙台国際音楽コンクールピアノ部門第3位入賞の北端祥人さんの対談とミニコンサートとで構成され、会場に集まった多くのコンクールファンはとても熱心に、興味深く聴き入っていました。
第7回仙台国際音楽コンクール関連事業
コンサートマスターと入賞者が語る仙台国際音楽コンクール
【日時】2018年3月2日(金)19:00~
【会場】日立システムズホール仙台 交流ホール
【出演】西本幸弘(トーク&ヴァイオリン:仙台フィルコンサートマスター)
北端祥人(トーク&ピアノ:第6回SIMCピアノ部門第3位)
【前半】トークコーナー
「コンサートマスターと入賞者が語る仙台国際音楽コンクール」
【後半】ミニコンサート
シベリウス/「4つの小品」 op.78 より「ロマンス」
バルトーク/「戸外にて」より「夜の音楽」(ピアノソロ)
リスト/「ラ・カンパネラ」(ピアノソロ)
バッハ/無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番より「ラルゴ」
モーツァルト/ピアノとヴァイオリンのためのソナタ K301
パガニーニ/カンタービレ(アンコール)
コンサートマスターと入賞者が語る仙台国際音楽コンクール
【日時】2018年3月2日(金)19:00~
【会場】日立システムズホール仙台 交流ホール
【出演】西本幸弘(トーク&ヴァイオリン:仙台フィルコンサートマスター)
北端祥人(トーク&ピアノ:第6回SIMCピアノ部門第3位)
【前半】トークコーナー
「コンサートマスターと入賞者が語る仙台国際音楽コンクール」
【後半】ミニコンサート
シベリウス/「4つの小品」 op.78 より「ロマンス」
バルトーク/「戸外にて」より「夜の音楽」(ピアノソロ)
リスト/「ラ・カンパネラ」(ピアノソロ)
バッハ/無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番より「ラルゴ」
モーツァルト/ピアノとヴァイオリンのためのソナタ K301
パガニーニ/カンタービレ(アンコール)
予選の前にはピアノ選びのセッションがあり、北端さんはスタインウェイを選びました。そして演奏曲を自分でプログラムする予選ですが、北端さんが選んだのはバッハの「トッカータ」、バルトークの「戸外にて」、バラキレフの「イスラメイ」。選曲の基準は「自分の個性が出せる曲」「自分を知ってもらうために、出し惜しみしない」の2点だったそうです。それぞれの曲の北端さんの狙いは次の通り
バッハ:音楽の土台(基礎)ができていることを知ってもらいたかった。
セミファイナル以降でバッハを弾く機会がないので、予選に入れた。
バルトーク:バッハとの時代の違いを聴いてもらいたかった。
バラキレフ:難しい曲で技巧の限界に挑んだ。
オリエンタルな面もあり、メランコリックな歌も聴いてもらいたかった。
予選は出場者それぞれの選曲が様々で、まるでコンサートのようだったとのことです。
ピアノ部門のセミファイナルは、今回もベートーヴェンのピアノコンチェルト第3番、4番から1曲選択となっています。北端さんのコメントは「素晴らしく、ストイックな課題曲。人生で1回は触れなければならない曲で、音楽に対する到達度を試される」とのことでした。第3番はベートーヴェンらしい、男性的で、苦悩を経て歓喜に至るというパターンの曲。ピアノの出番まではオーケストラが演奏するのを2分強待たねばならず、その後、ピアノが力強いオクターブで入ります。ここを「一発で仕留める」のが大切だそうです。この曲の第2楽章は白眉で、演奏者の内面が表われるとのこと。第4番は対照的に女性的で、冒頭はピアノから入ります。北端さんはこの曲に憧れていて、ご自身のコンクールでは第4番を選びました。この出だしは極めて印象的で「勝負の何割かは冒頭で決まる」とおっしゃっていました。コンクールのリハーサル時、冒頭で悩んでいた北端さんを見て、指揮者のパスカル・ヴェロさんは客席に移動して聴き、アドバイスをくれたそうです。北端さんは、ヴェロさんの人柄に感激するとともに、出場者をサポートしようとする仙台のコンクールの素晴らしさを感じたとのことでした。
ファイナルはモーツァルトの第15~19番のコンチェルトから1曲と古典派~現代までの代表的なピアノコンチェルトの中から1曲の合計2曲での勝負となります。第15~19番はモーツァルト中期の曲、コンパクトで室内楽的でアンサンブルが難しい曲ばかりだそうです。比較的演奏機会が少ない曲なので、どう解釈するかが聴きどころとなりそうです。ちなみに北端さんはト長調が一番好きだそうですが、実際コンクールで演奏したのはヘ長調。「好き」と「自分に合う」をきちんと区別しているところはさすがです。北端さんがファイナルで選んだもう1曲はショパンのピアノ協奏曲第1番でした。ここでも北端さんのお気に入りはブラームスのピアノ協奏曲第1番だったのですが、説得力を持たせる演奏は困難と判断して、ショパンを選択したそうです。北端さんによるとショパンの第1番は恋文のような曲で、ファイナルでの自分自身のテーマは「はかなさ」だったとのこと。日本の聴衆に自分を知ってもらえる機会と思い、挑戦を決めた仙台のコンクール。年齢的に仙台は最後のチャンスだった北端さんが、自分を冷静に、かつ客観的に見て入賞を果たしたことが分かり、感銘を受けました。そんな北端さんでも、ファイナルでモーツァルトの協奏曲を弾いた夜はものすごく疲れたそうです。聴く側には心地よいモーツァルトも、弾く側にとっては本当に難しいのですね。
トークコーナーの後半は主役交代で、西本さんがヴァイオリン部門の説明をされました。まずは予選ですが、第7回の課題曲は、バッハの協奏曲第1番または第2番から1曲、およびイザイの無伴奏ソナタ第3、5、6番から1曲の計2曲で争われます。西本さんによると、第1番は暗い感じ、第2番は明るくて春のよう。どちらを選ぶかで出場者の人間が分かるかも、とおっしゃっていました。一方のイザイはヴァイオリニストにとってバイブルのような曲。テクニックも難しく、出場者のキャラクターが表われるだろうとのことでした。そして、テクニックだけでなく、歌心もとても大切だそうです。西本さんが仮に出場するとすると、バッハは第1番、イザイは第3番を選ぶとのことでした。予選では小規模なオーケストラが伴奏しますが、指揮者は付きません。これまでのコンクールでは、出場者ひとりひとりの登録番号と演奏の特徴をスコアに書き込んで臨まなければならず、コンクールを通して、予選が一番大変だったとおっしゃっていました。
ヴァイオリン部門のセミファイナルでは、近現代の技巧的な3つのコンチェルトから1曲、そして、コンサートマスターとしての課題として、オーケストラの中に入ってブラームスの交響曲第1番から第2楽章とR・シュトラウスの「ツァラトゥストラ」の指定箇所を演奏することが課されます。西本さんによると、コンチェルトはテクニックの中に出場者の音楽観が投影されるので、そこを聴いてほしいとのことです。また、コンサートマスターとしての課題は本当に興味深いとおっしゃっていました。過去の入賞者の中にも、スヴェトリン・ルセフさんのように有名なオーケストラのコンサートマスターとして活躍している人もおり、堀米先生(審査委員長)のおっしゃるように、ラウンドを通してコンサートマスターをやりたいという人が育つかもしれないと語っていました。西本さんによると、単独のソロとオーケストラの中でのコンサートマスターとしてのソロは全く異なり、後者を例えると「オーケストラというパレットの中の一つの色」として、ソロの役割とリーダーの役割を両方果たさなければならず、そこも聴きどころとのことでした。まだコンサートマスターとしての課題の指定箇所は発表されていないという前提で、西本さんの予想として「ブラームス第2楽章」のソロの部分と「ツァラトゥストラ」のウィンナワルツの要素が入ったソロの部分が、西本さんのヴァイオリンと北端さんのピアノ伴奏で披露され、会場が盛り上がりました。
ファイナルはモーツァルトの第1~5番の協奏曲から1曲と代表的なヴァイオリン協奏曲1曲の合計2曲が課されます。前回第6回は一人の出場者が同じ日に2曲を演奏していたのですが、第7回はピアノ部門同様、別々な日に演奏される形となります。西本さんによると、モーツァルトの協奏曲はヴァイオリニストとしてとても大切な曲で、一見、簡単に思われるかもしれませんが油断は禁物で、「勢い」だけでは乗り切れず、室内楽的な要素が重要で、オーケストラとの融和できるかが問われるそうです。そして、2曲目の協奏曲に至れば、「ここまで来たら、音楽祭!」となり、弾く方もプレイヤーズ・ハイのような状態になるので、聴く方も会場の高揚感を楽しんでほしいとのことでした。
最後に北端さん、西本さんから過去の仙台のコンクールについてのコメントがありました。
【北端祥人さん】
期間中、他の出場者とは仲良くなりたかったけれど、そこはやはりライバルでした。でも大会後のパーティーでは他の入賞者とすっかり打ち解け、パーティ後は皆で居酒屋に行きました。ボランティアさんのフォローや大会運営も素晴らしく、皆さん本当に優しかった。演奏の後の聴衆から寄せられたメッセージは、読むだけで胸が一杯になりました。長いコンクール期間をそれで乗り切れたと言ってもよいと思います。幸いファイナルまで進めたので、ホストファミリーのお宅に泊まることはなかったのですが、大会期間中ずっと応援してくれたことに感動しました。そして、今でも交流が続いています。また、昨年5月の仙台フィル定演にも呼んでいただき、ショスタコーヴィチの協奏曲第1番を演奏することもでき、感激しています。
【西本幸弘さん】
コンクールの際は、ホストオーケストラとして何十曲もの協奏曲を準備しなければなりません。仙台フィルの良いところは、出場者とどう楽しむかを常に心がけていることです。第5回の時はコンサートマスターを一人で受け持ち、協奏曲を100曲以上弾きました。毎回、ファイナルが近づくと、楽屋には栄養ドリンクが大量に並びます(笑)。これからもこの仙台の地で、仙台フィルとしか作れない空間の中で、出場者と一緒に音楽を楽しみたいと思います。交流ホールでのお茶や習字体験など、文化的なイベントも仙台唯一ではないでしょうか。入賞者への大会後のケアが手厚いのも仙台の特長ですね。この濃密な一ヶ月をサポートしていただきたく、皆様ぜひ会場へ聴きに来ていただきたいと思います。
この日の後半は、第7回コンクール、ヴァイオリン部門の予備審査に入っている曲や北端さんが前回のコンクールの予選で弾いた曲なども織り交ぜて、お二人の素晴らしいソロとアンサンブルを聴かせていただきました。事前の期待を遥かに上回る、興味深い内容のイベントに参加できて、来年のコンクール開催が待ちきれない気持ちが高まった一夜でした。
※写真提供:仙台市市民文化事業団(コンクール事務局)
広報宣伝サポートボランティア 岡



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