10月22日、第6回仙台国際音楽コンクールピアノ部門で優勝を飾ったキム・ヒョンジュンさん(韓国)をソロ奏者に迎えた仙台フィルハーモニー管弦楽団特別演奏会を聴いてきました。一年に一回出会えるかどうかというほどの素晴らしい演奏会で、未だ余韻に浸りながら、この原稿を書いています。
仙台フィルハーモニー管弦楽団 特別演奏会
「山田和樹 × 仙台フィル vol.5」 ホライズン~地平線~
- 【日時】2017年10月22日(日)15:00開演
- 【会場】仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール
- 【出演】 山田 和樹(指揮)
キム・ヒョンジュン(ピアノ)
仙台フィルハーモニー管弦楽団 - 【演奏曲目】
- シベリウス/組曲「カレリア」 作品11
グリーグ/ピアノ協奏曲 イ短調 作品16 - アンコール(キム・ヒョンジュン)
- チャイコフスキー/「四季」より10月「秋の歌」
シベリウス:交響曲 第2番 ニ長調 作品43 - アンコール(山田和樹&仙台フィル)
- シベリウス/アンダンテ・フェスティーヴォ
この日のヒョンジュンさんのドレスは美しい紫色でした(なぜこの話題からスタートするかが気になった方はコンチェルト6-8号のインタビューをお読みください)。ヒョンジュンさんは笑顔で一礼された後、有名な下降する和音を弾き始めました。彼女の北欧物は初めて聴きましたが、その和音を耳にした瞬間から、どんなレパートリーもものにしてしまうヒョンジュンさんの受容力の広さを実感しました。美しく清新な音色は北欧のロマンを若々しく表現していましたし、終楽章の民族的なリズムを正確かつ魅力的に刻むヒョンジュンさんに、日々の努力に加え天性のものを感じました。それを豊かに包み込む山田和樹さんとオーケストラ。聴き慣れてしまったはずのグリーグのコンチェルトが新鮮に心に響いた30分でした。
後半はシベリウスの代表作、交響曲第2番。ここでも山田和樹さんと仙台フィルは予想をはるかに上回る、素晴らしい時間を提供してくれました。この日まで、私はこの曲に対して、何か流れが悪い、ぶつ切れ感のようなものをいつも感じていたのです。でも、山田和樹さんの演奏を聴いて、それが私の誤解だったことを知りました。この曲のひとつひとつの部分に全て必然性があり、それがフィナーレのクライマックスにつながっていると実感しました。自然で広がりのある豊かな音を奏でる仙台フィル、それを引き出す山田和樹さんの素晴らしさに酔いました。
大きな拍手の後、アンコールを指揮しようとして指揮棒を上げようとした山田さんは、それを止めて客席の方に振り返り、こうコメントしました。「私、仙台フィルを振っている時、本当に幸せなんです!」仙台フィルを応援している私達にとって、これほど嬉しい言葉はありません。アンコールのアンダンテ・フェスティーヴォを弾いている楽団員さんの表情から、演奏しながら感動していることがひしひしと伝わってきて、この演奏会に来て本当に良かったと思いました。最後はいつまでも鳴りやまない拍手に、山田和樹さんがコンサートマスターの神谷さんを袖に連れ去るという心憎い演出で演奏会の幕が閉じられました。
コンサートの後は、今年6月にレコーディングされ、発売されたばかりのキム・ヒョンジュンさんの新しいアルバムを購入。ヒョンジュンさんにサインを頂きました。

それから2日間、2回聴きました。今回のCDの出来栄えは素晴らしいです。アルバムを通して、モーツァルトから最後のパラフレーズまで、若々しく晴れやかな音色が貫かれ、聴いていて本当に心地よいです。どの曲の演奏も素晴らしいのですが、出色はプロコフィエフのピアノソナタ第2番の演奏。弾力のあるリズムの突進、様々なフレーズで色彩が移り変る音色、音による密やかな沈黙との対話、緊張と弛緩の心地よいコントラスト。ヒョンジュンさんのピアニズムの魅力が全て詰め込まれた名演です。今年6月の優勝記念リサイタルを聴かれた方は、私の書いていることが大袈裟ではないことをご理解いただけると思います。その時の名演を越える演奏がこのCDには刻まれています。なぜこの曲がプロコフィエフのピアノソナタの中ではマイナーと言われるのか、この演奏を聴けばそれが疑問に感じられるはずです。仮にこのCDにプロコフィエフしか収録されていなかったとしても、私は迷わず購入します。
ヒョンジュンさん、次回の来仙は来年7月13~14日の仙台フィル定演で、モーツァルトのピアノコンチェルト「ジュノム」を演奏されます。次回も期待です!
広報宣伝サポートボランティア 岡
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