2015年8月13日木曜日

アンナ・サフキナ出演 仙台での2公演レポート



誰をもファンにしてしまう、真っすぐなサフキナさんの2日間


第5回仙台国際音楽コンクールヴァイオリン部門第4位入賞のアンナ・サフキナさん(ロシア)がこの8月来仙され、2つのコンサートで素晴らしい演奏を私達にプレゼントしてくれました。今回はその公演の様子をご報告いたします。



仙台国際音楽コンクール
ボランティアプロジェクトVol.20
~ロシアの新星☆アンナ・サフキナさんを迎えて

まずは8月7日に行われた、私達ボランティアが企画運営したボランティアプロジェクトvol.20から、ご報告いたします。このシリーズも今回、記念的な20回目を迎えるということで、イベントを企画・運営するボランティア有志のメンバーも約半年前からこの日のために準備を進めてきました。

今回サフキナさんの来日が仙台七夕の時期と重なるということで、会場内に手作りの七夕飾りを立てることを企画しました。2日前に切ってきた竹に、当日開演6時間前からボランティア仲間が事前に手分けして折った吹き流しや短冊を結びつけました。

サフキナさんの出身国、ロシア国旗の3色を使った七夕飾りも作りました。いかがでしょうか?

夜7時の開演時間には250人を超えるお客様が日立システムズホール仙台の交流ホールに集まりました。会場からの大きな拍手とともに、サフキナさんとピアノ伴奏の木下順子さんをお迎えすると、さっそく演奏からスタートです。演奏された曲目は

チャイコフスキー/なつかしい土地の思い出 op.42 メロディ
モーツァルト/ロンド ハ長調 K.373
バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番
パガニーニ/24のカプリース 第24番 イ短調
シベリウス/2つのユモレスクから op.87-1
               4つのユモレスクから op.89-3
チャイコフスキー/ワルツ スケルツォ op.34

どの曲も心のこもった素晴らしい演奏でした。サフキナさんの演奏のスタイルや印象はブログ後半でご紹介いたします。喝采の拍手に応えて演奏されたアンコールは「七夕さま」とチャイコフスキーの小品でした。「七夕さま」はサフキナさんが前日即興的に変奏曲に仕立てたオリジナル作品。このサプライズにお客様も大喜びで、会場のボルテージも一気に高まりました。この日会場にいらっしゃったお客様は本当にラッキーだったと思います。



プログラムの後半はトークコーナー。筆者はこの日、司会を担当させて頂きました。出演者を会場に招き入れると、サフキナさんは美しい浴衣を着て現れ、会場からはどよめきや「可愛い~」という声が上がりました。サフキナさんは前回のコンクールの時、ファイナルまで勝ち残ったため練習を続けなければならず、期間中の交流イベントの「着付け体験」に参加できず悔しい思いをしていたとのこと。今回、その時の願いがやっと叶えられて、サフキナさん自身も大喜びしていました。

トークコーナ-では、事前に準備された写真を見て頂きながら、2年振りに訪れた仙台の印象から始まり、前回のコンクールの時の思い出、生まれ故郷のブラーツク市のこと、5歳で始めたヴァイオリンとの出会い、大好きなお母さんのこと、他のコンクールや演奏ツアーのこと、現在学んでいるモスクワ音楽院のこと等、サフキナさんのこれまでの歩みや人柄が理解できるような様々な質問を用意しました。サフキナさんはその全ての質問に、真面目に丁寧に答えてくれました。このイベントに先立って、広報担当ボランティアによりサフキナさんへのインタビューが行われたのですが、その内容は9月発行予定のボランティア広報紙「コンチェルト」に掲載予定です。それをお目通し願えれば、今回のトークイベントの様子や内容も想像していただけると思います。どうぞお楽しみに!


トークコーナーの後半、サフキナさんの趣味をうかがいました。その中の一つに写真撮影があるそうです。この写真はご自身で撮られた故郷ブラーツク市の冬の景色の一枚です。雪の中ですが、サフキナさんの温かい気持ちが伝わってくるような気がしませんか?この日、サフキナさんの真っすぐな演奏と人柄に多くの聴衆が彼女の大ファンになったと確信しました。もちろん私もその一人です。



宮城教育大学交響楽団第9回定期演奏会
  ~チャイコフスキーはお好き?~


上述したボランティアプロジェクト2日後の8月9日、日立システムズホール仙台のコンサートホールで宮城教育大学交響楽団の第9回定期演奏会がおこなわれました。アンナ・サフキナさんはこの日2番目のプログラム、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲でソリストを務めました。

出演: 日比野 裕幸(指揮)
    宮城教育大学交響楽団
          アンナ・サフキナ(ヴァイオリン)


演奏曲目
 チャイコフスキー/歌劇 「エウゲニー・オネーギン」よりポロネーズ
 チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
 チャイコフスキー/交響曲第2番 ハ短調 『小ロシア』 op.17


当日は開場前から、蛇行しながら会場対面の出入り口まで届くほどの長い列ができて、このコンサートに寄せる市民の期待を感じさせました。開場後、間もなく行われたミニロビーコンサートにも沢山の聴衆が演奏者を取り巻き、開演へのムードはどんどん高まっていきます。

オープニングに演奏された「エウゲニー・オネーギン」のポロネーズに続き、濃い赤紫のドレスに身を包んだサフキナさんが登壇すると、会場からは一昨日にも増して熱い拍手が沸き起こりました。チャイコフスキーのコンチェルト、本当に素晴らしかったです。サフキナさんの演奏は音一つ一つを大切に刻んでいく真面目なスタイルで、書道で言えば「楷書」といえるでしょうか。前回コンクールからの2年という時間は、彼女の音楽の幅や奥行きを確実に広くさせました。低~中弦の奥深い響きも、とても魅力的です。決してテンポが遅い訳ではないのですが、間合いをしっかり取って音楽を進めていくので、安心して演奏に身を浸すことができました。そして第2楽章の沈愁の表現にサフキナさんの成長の証を見ました。第3楽章の後半も、焦ったり、音楽を駆りたてたりせず、しっかりした足取りで、スケール感のある大きなクライマックスを迎えました。

全楽章を通して、サフキナさんの演奏は純音楽的で、あまり民俗的な色は感じませんでしたが、その弦の響きからロシアの深い森が自然に連想されるのはやはり生来的なものでしょう。サフキナさんの真っすぐで真面目な人柄がそのまま演奏に反映されて、会場に爽やかな感動をもたらしました。アンコールはパガニーニのカプリース第24番を鮮やかに聴かせてくれました。

後半のプログラムはチャイコフスキーの交響曲第2番「小ロシア」。ヴァイオリン協奏曲ではサフキナさんの真摯な演奏に寄り添って、呼吸もぴったりに的確なサポートをしてくれた宮城教育大学交響楽団の皆さん。休憩後はすっかり緊張も取れた様子で、情熱的な日比野先生の指揮に応え、民俗的要素が濃いこの曲のリズム感を大切に、熱狂的な躍動を楽しませてくれました。



「日本は私にとって特別な国」というサフキナさん、今回お迎えできたことを本当に嬉しく思います。

また仙台で会えることを楽しみに、これからもサフキナさんをずっと応援していきましょう!




広報宣伝サポートボランティア    岡


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