2015年5月18日月曜日

仙台フィル常任、パスカル・ヴェロによるレクチャー報告

ヴェロさん、ありがとうございます。
週末の定演、待ちきれません!

 
デュカスについて、熱弁するヴェロさん
 
5月17日、エル・パーク仙台ギャラリーホールにて、仙台フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者、パスカル・ヴェロさんによるレクチャーがあり、参加してきました。

このレクチャーでは5月22日(金)19:00~と5月23日(土)15:00~に行われる仙台フィル第291回定期演奏会のプログラム中の1曲、デュカス「交響曲」についての説明がありました。この作品はコンサート等で接する機会も少なく、私も一度も聴いたことがありませんでした。今回のレクチャーで曲のイメージをつかむことができて、定演当日が本当に楽しみになりました。

最初にデュカスの生きた時代を説明

レクチャーはCDで曲を聴きながら、デュカス(1865-1935)と同時代の画家(ドラクロア、ジェリコー、ミレー)の作品を使って、各楽章のイメージを浮き彫りにしていくというスタイルで進められました。馴染みが少ない曲を理解するために、同時代の音楽と絵画には関連性があるという考え方から考案された今回のヴェロさんの説明方法は本当に興味深く、デュカスの交響曲は意外と面白く、隠れた名曲だと認識させられました。フランス語通訳は菊池万希子さん。音楽の知識も豊富で、ヴェロさんのレクチャーには欠かせない存在となっています。

第一楽章はドラクロアの「民衆を導く自由の女神」とジェリコーの「メデュース号の筏」を題材に、解説が進められました。王政の終焉を迎える時代を象徴するようなフランスロマン主義を代表する2作品で、デュカスの「交響曲」の英雄的な曲調がよく理解できました。また、この2つの絵画に共通する「三角」の構図を使ってソナタ形式(提示⇒展開⇒再現)が説明されました。

第二楽章はミレーの代表的な作品7点が使われました。刻々と移りゆく曲調の変化がそれぞれの絵にぴったりで、思わず納得です。ミレーの絵に共通する広々とした寂寥感を感じさせる横の線と、人物等によって描かれる縦の線が織りなす立体感が、この楽章の曲調にピッタリはまります。曲の途中に現れる祈りを感じさせる部分や音楽の高揚によりカタルシスが訪れる部分が素晴らしく、この楽章をとても魅力的にしていると思いました。私はこの第二楽章が一番気に入りました。

第三楽章の前半は馬を愛したジェリコーの描いた作品で音楽のエネルギーを感じさせる躍動的な性格が説明されました。そして、曲の後半では同じくジェリコーが描いた「精神疾患者たち」のシリーズを使って、狂ったようなフレーズが効果的に使われてフィナーレに向けて段々と盛り上がっていく様子が効果的に解説されました。

最後に質疑応答の時間が設けられたので2つ質問してみました。

Q:デュカス自身は、同時代の絵画作品に接して影響を受けたのでしょうか?

A:デュカスはコンサートに定期的に通い、その講評を音楽誌に投稿しています。しかし、彼の残した著作には音楽以外のものは含まれておらず、プライベートな部分は謎に包まれています。だから音楽以外の芸術に興味があったかどうかは残念ながら、よく分かりません。

Q:この交響曲は多様性があり、変化に富んでいます。デュカスが伝えたかった統一的なテーマとは何でしょう?

A:彼が表現したかったのは、その時のその時代の状況をより確実に描くことだったのではないかと思います。そして、今の時代はどういうものなのか、一歩先はどうなっていくのかを見つめていたと思います。彼は常に新しいものを模索しながら曲を書いていましたので。

レクチャーの後で仙台フィル事務局より、定演についての追加情報が伝えられました。当日プログラムのデュカス「交響曲」では大編成の、そしてフォーレ「レクイエム」では比較的小編成のオーケストラで演奏されるので、その対比も楽しんでほしいとのことでした。

週末の定演、本当に楽しみです。皆様も是非どうぞ。
「行ってみようかな」と思った方はこちらで確認!
仙台フィル公式サイト
  ☎ 022-225-3934


そして、そして
10月23日、24日に行われる第295回定演に先駆けて、再びヴェロさんがレクチャーをしてくれることになりました!

日時: 10月18日(日) 午後予定
時間・会場は未定

10月はガーシュウィンとバーンスタインという「アメリカ」プログラム。ヴェロさん、今度はどんな切り口で曲の深部に迫っていくのでしょうか?皆様、まずは手帳に予定を入れておきましょう!


広報宣伝サポートボランティア   岡

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