仙台に寄せる気持ちが感動の音になった日

5月6日、仙台国際音楽コンクールに出場してくれたピアニスト4人によるチャリティーコンサートが東京で開催され、昨年に続いて参加してきました。このコンサートシリーズは東日本大震災発生直後の2011年4月7日に第1回が開かれ、その後毎年継続され、今回で5回目を迎えました。この日も、仙台からのボランティアを含む実行委員会のメンバーによる手作りで温かい雰囲気のコンサートとなりました。
第5回ガラコンサート
ピアニストの華麗なる競演
仙台国際音楽コンクール参加者有志による
~Charity Concert for Sendai vol.5~
今年の出演は、仙台国際音楽コンクール第2~第4回にご参加いただいた佐野隆哉さん、法貴彩子さん、鈴木美紗さん、津田裕也さんの4人でした。
愛の夢第3番
ラ・カンパネラ (佐野 隆哉)
ラヴェル/夜のガスパール(法貴 彩子)
ドビュッシー/前奏曲集より
「音と香りは夕暮れの大気に漂う」
「アナカプリの丘」
「西風の見たもの」
「亜麻色の髪の乙女」 (鈴木美紗)
喜びの島 (鈴木 美紗)
ショパン/即興曲 第1番 変イ長調
ノクターン 第2番 変ホ長調
スケルツォ 第2番 変ロ短調 (津田 裕也)
前回同様、会場は文京シビック小ホールでした。ここは地下鉄駅に直結していますし、客席のスペースが余裕を持って作られていて、とても居心地の良いホールです。今回も2時間の公演を気持ちよく楽しむことができました。
さて、公演内容ですが、出演した4人のピアニストの皆さんがそれぞれ、ピアノ音楽を代表するような4人の作曲家を取り上げるという、とても贅沢なプログラムが組まれました。
佐野隆哉さんのリストは初めて聴きました。堅固なスケールと清潔な詩情が同居していて、大きさを感じさせる演奏でした。自由なルバートをかけていても、背後にしっかりとした構成感を感じさせて、安心して音楽に浸れます。技巧を駆使しているリストの曲が簡単に思えるほど安定していて、ダイナミックスが広い、力強い演奏を楽しませていただきました。
法貴彩子さんのラヴェルは均一な音の粒が美しい、夜の艶めいたひそやかさが伝わってくるような演奏でした。激しい表現の中にも静けさを感じさせ、強い集中力により、曲のイメージが最後まで見事に維持されました。法貴さんのピアノはふらふらしないゆるぎない一本の線に貫かれており、それに支えられた息の長い呼吸感により心地よい酔いに似た感覚を味わえました。
鈴木美紗さんのドビュッシーは華やかでエレガントでした。ひらめきに満ちた、ハッとする瞬間がいくつもあって、思わずドキドキしてしまいました。フレーズとフレーズの間のさりげない休符がとても美しく、そのたびに音楽が微笑んでいるようです。鈴木さんのピアノを聴くとなぜか幸せな気持ちになるのは私だけではないでしょう。
津田裕也さんのショパンには新境地を感じました。いつも水彩絵具しか使わない津田さんが油彩絵具も使い始めたと言ったらよいでしょうか。これまでより豊潤な色彩による煌めきを感じさせるショパンに感じました。もちろん津田さんの爽やかで、さりげなく光る表現や、曲が進むにつれて情熱が高まっていくスタイルは変わりません。津田さんのピアノがこれからどう進化していくかという、期待に満ち溢れた熱演でした。
アンコールの前に皆さんからご挨拶がありました。
皆様、本日はお忙しいなか、そしてGW中にもかかわらず、沢山の方にお集まり頂き、ありがとうございました。私たちのチャリティーコンサートもこれで5回目となりました。早かったような、長かったような不思議な感じです。今日はちょっとたサプライズがあるので、それまで皆さんの声を聞きたいと思います。まずは法貴さん、お願いします。 (鈴木美紗さん)
今日はお越しいただきまして、ありがとうございます。このチャリティーコンサートは今年5回目の記念の回となります。第1回の開催は4月、震災2週間後すぐに鈴木さんの方から声がかかり、では私もということで急遽決まりました。ちょうど私が8年間のフランス生活を終えて、帰ってきた直後の震災だったので、私の日本での生活は震災から始まったと言えるのですが、その時からもう4年が経ったというのは、本当にあっという間だったなと感じています。その時に始まったチャリティーコンサートがこうして5回目を迎えることができ、皆様とこうやってお会いできたのが本当にありがたく思っております。今度ともどうぞよろしくお願いします。 (法貴彩子さん)
今年5回目を迎えましたけれど、それと同時に被災地の方も5年目になったということですが、まだまだ復興が進んでいない地域が沢山あります。仮設住宅で暮らしていらっしゃる方や苦労されている方も大勢おられる中で、本当にまだまだ終わりではないんだということを我々は伝えていかなければならないと改めて思った5年目でした。できれば10年目位までは続けていきたいと思いますので、今後ともどうぞ温かいご支援のほどをよろしくお願いいたします。 (佐野隆哉さん)
今日は本当にこんなに沢山の方にお越しいただき、ありがとうございました。ご存じの方もおられると思いますが、私は仙台出身なので、仙台のためにこうして、コンクールをご縁にこの様なコンサートを立ち上げて、継続していただき、私も途中から参加させて頂いていること、本当にありがたいなと感じています。まだまだ復興を必要とされている方々が沢山いらっしゃると思います。私たちのできることは本当に小さなことですけれど、これからも活動をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。 (津田裕也さん)
佐野隆哉さんより、このコンサートの収益金の寄付について説明がありました。昨年までは全額仙台市に寄付していましたが、今年より仙台市と「子どもの村東北」というNPO団体の2ヶ所に寄付を行なうとのことでした。「子どもの村東北」は大震災の際、親御さんをなくされた等、被災した子供達を支援する施設を運営している団体です。
コンサートやチャリティー会計報告は
実行委員会公式ブログ
「子どもの村東北」公式サイト
出演の皆さんの素晴らしい演奏と仙台に寄せる想いに感動と感謝の2時間でした。演奏後は会場が熱い気持ちがこもった拍手に包まれました。
さて皆様、もう一つサプライズがあります。この日ご出演の佐野さん、法貴さん、鈴木さんが仙台でのコンサートをプレゼントしてくれます!
第6回仙台国際音楽コンクール関連事業
SIMC@交流シリーズ Piano!Piano!!Piano!!!
仙台を、愛してやまないピアニスト3人が贈る
場所:日立システムズホール仙台(仙台市青年文化センター)
交流ホール
出演: 佐野隆哉、鈴木美紗、法貴彩子
演奏予定曲目:
バッハ/主よ、人の望みの喜びよ (連弾:法貴、鈴木)
モーツァルト/ピアノソナタ 第11番 イ長調 K331 (トルコ行進曲付) (佐野)
ラヴェル/夜のガスパール (法貴)
ショパン/バラード 第1番 ト短調 op.23 (佐野)
ドビュッシー/前奏曲集 第1集より 6曲
喜びの島 (鈴木)
ラフマニノフ/ロマンス (6手連弾:佐野、法貴、鈴木)
詳細はこちらです!
仙台国際音楽コンクール公式サイト
仙台の皆様、そして仙台のコンクールファンの皆様、ご来場をお待ちしております!
これはもう、仙台のコンクールを愛する人にとっては必修科目ですね。
広報宣伝サポートボランティア 岡




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