2015年2月1日日曜日

藤井朋美 New Year Piano Concert

 
1月31日(土)、仙台市泉区の松森市民センターで石巻市在住のピアニスト、藤井朋美さんのコンサートが開かれ、参加してきました。
 
 
平成26年度松森市民センター主催事業
松森アフタヌーンコンサートシリーズ
 New Year Piano Concert
 
ピアノ: 藤井 朋美
 
会場: 松森市民センター 会議室
 
プログラム
 モーツァルト/ピアノソナタ イ長調 K.331「トルコ行進曲付」
 バルトーク/ルーマニア民俗舞曲 Sz.56 全曲
 ショパン/即興曲(第3番) 変ト長調 Op.51
         ノクターン 変ホ長調 Op.9-2
 シューマン(リスト編曲)/献呈
 リスト/「巡礼の年 第1年 スイス」より「オーベルマンの谷」
 アンコール ショパン/ワルツ第6番「子犬のワルツ」
 
 
 
松森市民センターは仙台市の市民センターの一つとして、地域の文化、レクリエーション、スポーツなどの自主活動の場として、平成12年1月に開館されました。こののコンサートは松森市民センター主催で1年に4回ほど開催されているコンサートシリーズの一環で、市民に無料で公開されています。この日は道端に前日の大雪が残る中、周辺住民を中心にした約50人の市民が会場に訪れて、音楽を楽しみました。
 
藤井朋美さんは石巻市出身、山形大学卒業後、フランクフルト音楽大学・大学院に進学され、一昨年国家演奏家資格を取得して帰国。現在石巻市に戻られ、宮城県内を中心に演奏活動や教育活動に活躍しておられます。昨年5月、仙台市宮城野区文化センターパトナホールで開催された、これからの宮城・仙台の音楽界を担う若い音楽家のコンサート「明日へ!」に出演されたのをきっかけに、注目していたピアニストでした。
 
この日最初のプログラムは有名な「トルコ行進曲」を第3楽章に持つモーツァルトのピアノソナタK.331でした。赤いドレスに身を包んだ藤井さんが入場すると、センタ-の会議室は一気に華やかな雰囲気になりました。音楽ホールに比べて小じんまりした会場でのコンサートで、アットホームな心地よさの中演奏が始まりました。藤井さんの演奏は軽快なリズムで颯爽と進みましたが、フレーズとフレーズのつなぎ目がとてもエレガントで匂い立つようです。第3楽章の「トルコ行進曲」も早めのテンポで一気に弾ききって、爽快な風を思わせる後味を残してくれる演奏でした。
 
続いてはバルトークの「ルーマニア民俗舞曲」全6曲。ここでもフレーズがふっと途切れるところで、はっとするような魅力的な瞬間があり、心が引き込まれます。前回「明日へ!」でのラヴェルでもそうでしたが、藤井さんはまさに「休符が魅力のピアニスト」と言えるのではないかと感じました。もちろん、音が鳴っている間が素晴らしいから、そう言えるのですが。
 
次はショパン。この日演奏された「即興曲第3番」は藤井さんの説明によると、有名な「幻想即興曲」等に比較して演奏される機会は少ないそうです。この曲、動きは結構激しいにも関わらず、優雅さを感じさせます。時折夢見るようなメロディーも出てきて、素晴らしい曲だなと思いました。藤井さんはこの曲を可愛くまとめて、この曲がもっと演奏されるべきであることを実感させてくれました。続いて有名なノクターンOp.9-2。藤井さん自身、この曲は練習していて穏やかな気持ちになるそうですが、私たち聴衆もきっと同じ気持ちになったと思います。
 
次はシューマンの歌曲集「ミルテの花」から第1曲目「献呈」をリストが編曲したピアノソロ版が演奏されました。この曲集はシューマンが愛妻クララへ結婚前夜に捧げた曲集で歌詞は情熱と愛にあふれているという説明がありました。藤井さんの演奏は幅を感じさせる表現の大らかなものでした。曲の最後にシューベルトの「アヴェマリア」の一節が隠されていることも藤井さんから紹介がありました。
 
この日最後のプログラムはリストの「巡礼の年 第1年 スイス」から「オーベルマンの谷」。藤井さんは想いを込めた弾きぶりで、時には優しく、時には激しく、リストが描写した移りゆく情景を音楽へのあこがれを感じさせつつ聴かせてくれました。最後は会場からのアンコールに「子犬のワルツ」で応えてくれました。
 
 
1時間の中にピアノの魅力を詰め込んだプログラムを用意していただいた藤井さん、そして市民にクラシック音楽の魅力を楽しむ機会を提供していただいた松森市民センター様に感謝したいと思います。藤井朋美さんは国家演奏家資格(ドイツの芸術大学で芸術家として取得できる最高の資格)を取得して、宮城に戻ってきてくれました。これからの宮城・仙台の音楽界を支えていただくために、私たちも継続して応援していきたいと思います。
 
 
 
広報宣伝サポートボランティア   岡
 

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