私たち仙台の誇り、リチャードさんが来てくれました!
12月3日、日立システムズホール仙台で仙台フィルハーモニー管弦楽団「オーケストラスタンダード2014 Vol.11」が開催され、聴いてきました。今回の指揮は常任指揮者のパスカル・ヴェロさん。コンサートマスターは神谷未穂さん。協奏曲でのソリストは第5回仙台国際音楽コンクールヴァイオリン部門優勝者のリチャード・リンさんでした。
出演
指揮/パスカル・ヴェロ
ヴァイオリン独奏/リチャード・リン
仙台フィルハーモニー管弦楽団
プログラム
ベルリオーズ/序曲「ローマの謝肉祭」作品9
サン=サーンス/ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調 作品61
ベルリオーズ/幻想交響曲 作品14
スタンダードな曲をリーズナブルな料金で市民に楽しんでもらうというコンセプトのコンサートシリーズの11回目。開演前にはパスカル・ヴェロさんと第2ヴァイオリン奏者の小川有紀子さんによるプレトークがありました。内容は主に後半のプログラムの幻想交響曲に関する曲解説とエピソード紹介でした。また、この日素晴らしいソリスト(リチャード・リンさん)を迎えていることと、今回彼の使用する楽器がストラディバリウスであることも告げられました。
コンサート開始直後から気合が入ったノリノリの「ローマの謝肉祭」に続いて、いよいよリチャードさんがそのストラディバリウスを抱えて登場。ヴェロさんと仙台フィルを背にして、会場の斜め上を見上げるリチャードさんを見た瞬間、第5回のコンクールの光景が甦ってきて、心が動かされてジーンときてしまいました。曲は随所に美しい旋律があるサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番、リチャードさんはいつもの吸いつくような美しい音色を全編に貫いた演奏で、どんなに激しい部分でも決して歌を忘れず、聴衆全ての心を引きつけて離しませんでした。そして、2楽章や3楽章にある清らかな息の長い旋律や2楽章の最後に出てくるハーモニクスの美しさは特筆ものでした。演奏が終わると日本語で「おばんです。皆様お越しくださいまして、ありがとうございます」と挨拶され、アンコールでイザイの無伴奏ソナタをプレゼントしてくれました。この演奏も著しい集中力とテクニックの中に美音が活かされ、会場全体が息をつめて聴き入りました。繰り返されるカーテンコールに笑顔で応えるリチャードさんには温かい人間性に加え貫禄も感じられ、聴衆の何時にも増して熱い拍手は彼を仙台の優勝者に選んだことを誇りに思うことを体現していたと感じました。
後半は「幻想」でした。演奏はヴェロさんの情熱を込めた指揮にオーケストラも見事に応え、圧巻でした。ヴェロさんの演奏はどんなにエキサイトしても秩序と気品が保たれています。だから、普段は気が付かない副旋律もしっかり聴こえてきます。全楽章に現れる「恋人の旋律」も今までは気が付かなかったところにも潜んでいることを発見することができました。今回特に印象的だったのは、仙台フィルの木管群の雄弁さです。時に孤独感を、時に奇怪で強迫的な雰囲気を自在に表現して、この曲の特徴を浮き彫りにしてくれました。オーケストラ一体となった最終楽章の狂乱の盛り上がりに客席からも大きな拍手が沸き起こりました。
終演後は発売されたばかりのリチャードさんのニューアルバムを多くの人が買い求め、サイン会の列を作りました。東京での優勝記念演奏会でも披露されたブラームスのヴァイオリンソナタ3曲全てが収録されているこのアルバム、私ももちろん購入して、サイン会の列に加わりました。帰りの車中試聴してみて、自信を持って皆様におすすめできる一枚であることを確信しました。
広報宣伝サポートボランティア 岡


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