佐野隆哉さんは、東日本大震災直後から、東京で開催されている「チャリティーコンサート」を企画・運営している中心メンバーのお一人です。このコンサートは仙台のコンクールに出場経験のあるピアニスト有志によって毎年開催され、昨年で6回目を数えました。このコンサートの収益は毎年、仙台市等に寄付され、震災からの復興に大きな貢献をされています。
コンクールを通じて、仙台とは切っても切れないご縁ができた、佐野隆哉さんの晴れのリサイタル。参加できて、とても良かったです。会場は日本を代表するコンサートホールの一つ、上野の東京文化会館。筆者がクラシック音楽に夢中になっていた中学、高校時代よく足を運んだ思い出のホールへ、三十数年振りに訪れることができました。
佐野隆哉ピアノリサイタル2017
~ソノリテの変革者たち~
【日時】2017年1月13日(金)
【会場】東京文化会館 小ホール
【演奏曲目】
ラモー/「クラブサン曲集」「新クラブサン組曲」より
優しい嘆き
つむじ風
タンブーラン
エジプトの女
一つ目巨人
プーランク/メランコリー
ラヴェル/夜のガスパール全曲
オンディーヌ
絞首台
スカルボ
ショパン/24の前奏曲全曲
アンコール
ショパン/ワルツ ・ ドビュッシー/「月の光」
リサイタルの最初はラモーの小品5曲が演奏されました。佐野さんは一つ一つの音を明晰に、そしてそれぞれの曲の個性を描き分けて軽快に弾き上げました。次の曲はプーランクの「メランコリー」。初めて聴いた曲でしたが、エスプリが利いていて、オシャレで素敵な曲でした。前半のメインはラヴェルの「夜のガスパール」。最初の「オンディーヌ」から、音色が水がビロードのように揺れて滴るような感じで、一気に音楽に引き込まれました。音が複雑に入り乱れるこの曲でも佐野さんの音はクリアーで、一音一音が明確に耳に届き、不協和音もとても綺麗に聴こえます。佐野さんのピアノからいつも感じることですが、音楽の底辺が常に安定しており、高揚するフレーズでも常に冷静で、迫力はあっても激するところがありません。今回それに佐野さんの自信が加わって、聴いていて心地よい緊張と安心を感じました。
休憩をはさんで、後半はショパンの前奏曲全曲が通しで演奏されました。佐野さんは集中を維持して、会場の空気は徐々に凝縮していきました。凛とした音色からは、甘さを排した爽やかな詩情を感じました。佐野さんの安定感を伴った構成力で、私はこの曲集が緊張と弛緩を繰り返す、まとまった一つの作品なんだということを強く意識することができ、新たな魅力を発見できた気がします。
アンコールの2曲からも、佐野さんのピアノの新たな一面を見つけたように思いました。リサイタル全体を通して、これまでの安定感に加え、どこか「静けさ」を感じるのです。一言でまとめれば「深みと軽みの共存」と言えるでしょうか。これからの佐野さんのピアノの進化が一層楽しみになった一夜でした。
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| 一昨年仙台で行われた「Piano!Piano!!Piano!!!」終演後のインタビューでの佐野さん |
佐野さんが中心メンバーで毎年開催されてきた、東日本大震災支援のためのチャリティーコンサート。今年も春に東京で開催されます。仙台のコンクールに出場経験があるピアノストたちの個性に満ちた競演が毎年聴けるのは幸せなことです。関東地方にお住まいの読者の皆様、お手持ちの手帳の5月6日の欄に「チャリティーコンサート」の文字をまずはご記入ください。コンサートの内容は発表され次第、このブログでもご紹介いたします。
広報宣伝サポートボランティア 岡


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