2015年10月19日月曜日

仙台フィル常任、パスカル・ヴェロによるレクチャー報告

 
アメリカ音楽の魂が熱く語られた2時間。
週末の定演が待ちきれない!

10月18日、仙台市荒町市民センター第3会議室にて、仙台フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者、パスカル・ヴェロさんによる定期演奏会に向けたレクチャーがあり、参加してきました。

このレクチャーは、約1週間後に行われる仙台フィル定期演奏会をより楽しめるように、ヴェロさんが毎回、様々な切り口でプログラムの内容や演奏曲目の説明をしていただいているものです。これまでのレクチャーは、絵画や文学、書簡等を通して、作曲家やその作品の時代背景や特徴を浮き彫りにする内容でした。回を追うごとに参加者も増え、今回は約60名の参加者が集まりました。

今回仙台フィル第295回の定期演奏会のプログラムは「ヴェロの特選アメリカン・プログラム2015!」。ピアニストの横山幸雄さんを迎えてのガーシュウィンとバーンスタインの作品が演奏されます。この日のレクチャーはその中から作曲家「ガーシュウィン」に焦点を当て、彼が聴いたであろう、その時代の音楽を熱く語っていただきました。アメリカの音楽だけでプログラムを組まれるコンサートは少なく、私達はそれへの理解が十分とは言えません。今回のレクチャーで現代にも生きているアメリカ音楽の魂(スピリッツ)をつかむことができて、定演ではより共感と感激を味わえる予感を得た一日でした。

レクチャーの冒頭、ヴェロさんはまず「Jacob Gershowitz」というガーシュウィンの本名を紹介しました。ガーシュウィンはユダヤ人の家系の出身で、両親はロシアのサンクト・ペテルブルグからニューヨークのユダヤ人街に移民してきたとのこと。ヴェロさんはガーシュウィンの音楽からはユダヤ人らしさが感じられないとコメントしていましたが、会場にもガーシュウィンのがユダヤの家系であることを知っている人は少なく、私も意外な感じを受けました。また、彼はラフマニノフにも劣らない卓抜したピアノ演奏技術を生かして、貧しい一家を支えるために楽譜屋のデモンストレーター(客にその楽譜がどんな曲か弾いて聴かせる職業)を続けていました。それを通して、ガーシュウィンは当時のいろいろな音楽に接していたそうです。

ガーシュウィンが接し、その作品に大きな影響を与えたアメリカ音楽の発達の流れをヴェロさんは順を追って説明してくれました。今回のレクチャーでの趣向は1900年代前半に録音された音楽12曲を聴きながら、それを補完するピアニストの石川祐介さんの実演とともにアメリカ音楽の発達の流れを説明していくというものでした。通訳はいつもヴェロさんとの息もぴったりの菊池万希子さん、石川祐介さんも演奏だけでなく、時折補足説明をしていただけたので、とても充実した2時間になりました。

焦点はアメリカ南部のミシシッピ川流域で発達した音楽。説明はアフリカから連れてこられた黒人たちの霊歌や労働歌から始まって、ブルースの誕生、物悲しい郷愁感を感じさせるブルーノート音階やゴスペルの発達、白人音楽との融合によるラグタイムへの昇華という流れで進められました。その流れを支えている音楽技法、「シンコーペーション」「パンタトニック(五音音階)」「クロマティック(半音進行)」なども逐次説明されました。ここでは石川祐介さんの実演が理解をよく助けてくれました。
 

 黒人音楽に大きな影響をうけながら発達した当時のアメリカ音楽の様々な特徴も併せて紹介されましたが、それがとても面白かったです。たとえば、ヨーデルの様に声をひっくり返す技法の源流がピグミー族の音楽にあること。労働歌から来ている「コール&レスポンス(一人が歌うと、それに呼応して多声が追いかける)」。ヨーロッパ音楽では決して見られないフレーズの最後に付けられる「トルッ」という飾り。そして、ニューオーリンズの音楽に特徴の「プワ~~」という感じや効果的に音を濁した、薄汚れた感じの音の事など、興味が尽きませんでした。ガーシュウィンの音楽に見られるこれらの特徴を表現するために、ヴェロさんは週末の定演に向けて、仙台フィルに敢えて「きれいでない音」を求めているそうです。「当日、観衆の皆さんは、きっと驚くよ」と嬉しそうにコメントするヴェロさんでした!


週末の仙台フィル定演、本当に楽しみです。

今回のプログラムは
ガーシュウィン:キューバ序曲
ガーシュウィン:ピアノ協奏曲 ヘ調
バーンスタイン:ミュージカル「オン・ザ・タウン」より 3つのダンス・エピソード
ガーシュウィン/ベネット編:交響的絵画「ポーギーとベス」

ピアノは横山幸雄さん!です。

「行ってみようかな」と思った方はすぐ連絡を!
  ☎ 022-225-3934
仙台フィル公式サイト

では週末のアメリカ音楽の魂に触れる旅に、ぜひご一緒しましょう!


広報宣伝サポートボランティア    岡

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