進化し続ける津田裕也さんのピアノはとどまることを知らない。
5月30日、日立システムズホール仙台で行われた、仙台フィルハーモニー管弦楽団「オーケストラスタンダード」を聴いてきました。「オーケストラスタンダード」は、ユニークな作品がプログラムに載せられる定期演奏会とは異なり、多くの人が知っていてCDも沢山出ている、いわゆる「スタンダード」作品をリーズナブルな入場料で聴くことができる企画として人気を博しています。今回9回目はオールベートーヴェンプログラム。指揮者には大御所の飯守泰次郎さん、そして、コンチェルトのソリストには仙台出身で、第3回仙台国際音楽コンクールピアノ部門優勝の津田裕也さんが出演されました。
プログラム
ベートーヴェン/バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番
ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」
出演
飯守泰次郎(指揮)
仙台フィルハーモニー管弦楽団
津田裕也(ピアノ)
西本幸弘(コンサートマスター)
開演時間より随分前にブザーが鳴ったので、コンサートホールに入ったら、舞台脇に当日の指揮者飯守泰次郎さんと仙台フィル演奏事業部長で常務理事の村上満志さんが登壇され、飯守さんから演奏曲についてのプレトークがありました。いまや日本を代表する指揮者であり、大ヴェテランの飯守さんですが、話される内容の熱いこと!外見こそお綺麗な白髪ですが、発せられる言葉の勢いは若々しい青年そのもの。開演後の期待が大きくふくらみます。
最初のプログラムは「プロメテウスの創造物」序曲。一般的にプログラム最初の小品ではオーケストラの筆慣らし的な演奏が多いのですが、この日の演奏は最初からクリアで芳醇なサウンドが目の前に現れて、仙台フィルの気合に驚きました。飯守さんの音楽は背筋がピンと立った指揮姿そのもので、豊かな表現が端正で整然としたスタイルに支えられています。そして、プレトークの印象と同様、若々しさにあふれています。
続いて、いよいよ津田裕也さんが登場して、ピアノ協奏曲第3番の演奏が始まりました。津田さんの演奏には常に変わらない清潔感と音の正確さがあります。この日の演奏もその特長はそのままに、音楽は更に進化していました。幅のある大きな表現、豊かな音量はそれを体現しており、この作品に頻繁に現れるトリルの粒がそろった絶妙な美しさには更に心奪われるものがありました。上質な白ワインが貯蔵前の透き通った透明感を維持しつつ時を経てその味わいを増していくように、津田さんのピアノにおおらかな広がりが加わりつつあることをを実感しました。7年前のコンクール、津田さんに「優勝」を与えた審査委員の先生方の慧眼には、今更ながら驚かされます。演奏後、津田さんは聴衆の熱いコールに、5回舞台に呼び戻されました。
後半はおなじみ交響曲第6番「田園」。定番中の定番は意外とコンサートで演奏されないもので、「田園」の実演に接するのは本当に久しぶりでした。飯守さんはここでも整然としたインテンポで疾走する若々しい「田園」を作り上げていました。テンポこそ早めですが、表現に不自然なところは一切なく、律義さと豊かさが同居している飯守さんの音楽に爽快な感動を得ることができました。終演後、美しい立ち姿で手を挙げて聴衆の興奮に応える飯守さんの笑顔に心より敬服の念を抱きました。ここでも拍手は鳴りやまず、飯守さんは仙台フィルの各セクションの健闘を讃えつつ、何度もステージに戻ってきてくれました。
公演の翌日、津田裕也さんにお時間を頂き、コンクール広報宣伝サポートボランティアの有志でショートインタビューをさせていただきました。「真摯」という言葉がピッタリな津田さん。質問へのまじめな回答は彼の音楽をそのまま映すようで、私たちに誠実な印象を与えてくれました。この日のインタビューの内容は先日のバーエワさんのインタビューと併せ、7月発行予定のボランティアによる広報紙「コンチェルト」次号に掲載しますので、どうぞご期待ください!
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広報宣伝サポートボランティア 岡

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