2014年5月13日火曜日

明日へ! 1st Concert

 
宮城・仙台のクラシック界を担う若き演奏家たち いざ進め、明日の大舞台へ!
 

5月10日(土)、仙台市宮城野区文化センター・パトナホールでMHKS様主催の"Heart Warming Concet" Vol.28 「明日へ!1st Concert」が開催されました。このイベントは地元宮城の明日を担う若い音楽家を支援し、演奏の場を設けようという願いで開催された、第1回目のコンサートです。最初にこのコンサートを企画し、司会(ナビゲーター)、伴奏を担当された、ピアニストの田原さえさんより挨拶がありました。それがこのコンサートの趣旨をよく表しているので、要約して記してみたいと思います。

仙台周辺には専門の音楽大学がありません。だから、街に住む人たちが音楽を学ぶ若者を暖かく応援する環境が限られています。そこで、若い音楽家を応援する集まりを組織して、演奏の場を作るお手伝いすることにしました。仙台で活動する若い音楽家が「仙台に帰ってきてよかった」「仙台で演奏活動していてよかった」と思えるような環境を少しでも整えていきたいと思っています。今日お集まりの皆様も温かい気持ちで最後までお付き合い頂いて、こんなにも素敵な演奏家が仙台にもいるんだと認識を新たにしてほしいと思います。


藤井朋美(ピアノ)
シューベルト/即興曲 変ロ長調
ラヴェル/組曲「鏡」より「道化師の朝の歌」

最初の出演者は藤井朋美さん。石巻出身で山形大学、フランクフルト音楽大学を経て、ドイツの「国家演奏家資格」を取得後、帰国されました。シューベルトは素直でストレートな演奏でしたが、ラヴェルでは一転、ブリリアントでおしゃれな演奏、高音もとてもきれいで、上質な「道化師の朝の歌」を聴かせていただきました。随所に聴かれる匂い立つようなフレーズはヨーロッパで修業されてきた成果が表れていたと感じました。

櫻井希(フルート)&田原さえ(ピアノ)
ドビュッシー「ベルガマスク組曲」より「前奏曲」「月の光」
タファネル/ミニヨンの主題によるグランド・ファンタジー

次はフルートの櫻井希さん。宮城教育大学卒業。数々のコンクール受賞を経て、現在宮城県内を中心に演奏会やアウトリーチ活動に活躍されています。ドビュッシーでは澄んだ音色で優しさに満ちた表現を、そしてタファネルでは様々な表現を的確に、そして音が駆け回る技巧も正確にきらびやかな曲を楽しませてくれました。櫻井さんの音色は常に微笑みを湛えているように感じます。演奏前後の笑顔も含めて、聴衆を幸せな気持ちにさせてくれるフルーティストでした。

建部紘子(ピアノ)
ショパン/夜想曲 変ホ長調
ショパン/アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ

前半最後は建部紘子さん。武蔵野音楽大学卒業後、室内楽に力を注いできました。現在は多賀城在住、東京と宮城県を往復しつつ、ソロや伴奏活動に活躍されています。建部さんのショパンはどんな細部も丁寧に心を込めて、慈しむように弾かれます。後半のポロネーズでは激しい表現も沢山出てきますが、そこでも決して焦らず落ち着いて、メロディを愛惜しむように奏でます。印象的で余韻が残る演奏でした。

岩崎愛(ピアノ)
バッハ/「平均律クラヴィーア曲集」第2巻 第16番
ベートーヴェン/ピアノソナタ第26番「告別」

後半最初は岩崎愛さんのピアノ演奏でした。岩崎さんは昭和音楽大学大学院修了。東北を中心に数々のコンサートの出演歴を積み重ねてきました。2010年からは演奏家集団FIORENTEを結成され、演奏活動を行っています。岩崎さんのピアノはしっかりした構成感を感じさせる、両手のバランスが抜群の演奏です。演奏を通して安定感や落ち着きがあり、しっとりした味わいの表現とともに、安心して音楽に浸れます。そんなバランス感が最大に活かされていたのがバッハのフーガだったと感じました。ベートーヴェンでも岩崎さんの左手のフレーズにしばしば聴き惚れました。

浅野裕里香(ヴァイオリン)&田原さえ(ピアノ)
モーツァルト/ヴァイオリンソナタ第42番 第1、3楽章
サン=サーンス/主題とロンド・カプリチオーソ

浅野裕里香さんは仙台出身。桐朋学園大学を卒業され、研究科も修了されました。数々の音楽賞やコンクール入賞を経て、広く演奏活動を繰り広げられています。筆者は浅野さんのコンサート出演に接するのは2回目でしたが、今回も作品の特色を生かした真摯な演奏に感銘を受けました。浅野さんのヴァイオリンを聴くとどんな技巧的な部分も派手に聴こえず、その曲のその場所にその技巧がなければならない必然性を感じさせてくれます。きちんと譜読みをされている証かなと思います。サン=サーンスは圧巻で会場からもブラボーの声が上がりました。

菊地沙織(ピアノ)
バーバー/ピアノソナタ作品26

この日の最後は菊地沙織さん。武蔵野音楽大学大学院の博士課程前期までを修了され、その後パリ・エコールノルマル音楽院、オルセー・ラ・ヴァル・シュヴルーズ音楽院で研鑽をつまれました。帰国後は東京・仙台を中心にアンサンブル、オペラ・合唱の伴奏、ソロなど広く演奏活動をされています。菊地さんはこの日、現代作品のバーバーのピアノソナタを演奏されました。菊地さんのピアノは豊かな音量に支えられ、冴えた音の美しさを感じさせる演奏です。音の一つ一つの粒が磨かれていて、前進性が途切れない、集中力の高い凝縮された演奏で、現代音楽でも全く飽きることがない魅力に満ちた時間を楽しみました。今度は菊地さんのスクリャービン、プロコフィエフを聴いてみたいと強く感じました。

最後は6人の出演者が再登場して、舞台上で一堂に会し、交代でこの日の感想や、これからの抱負を話されました(要約)。

藤井朋美さん
今日はお忙しい中、ご来場いただきましてありがとうございました。MHKSさん主催のコンサートで演奏させていただくのは今回で2回目です。素晴らしいホールで温かいお客様に囲まれて演奏できて、とても幸せです。8月9日午後2時から石巻市の遊楽館でコンサートを予定しています。今日出演の浅野裕里香さんも共演します。石巻周辺の方がいらしたら、そして仙台の皆様も少し遠いかもしてませんが、是非いらしてください。

櫻井希さん
今日はご来場いただきまして、誠にありがとうございます。私は大学時代、宮城で学びましたが、小学校も六郷小学校におりました。仙台はこれまで一番長くいる都市で、とても思い入れがあります。このような広いホールでチラシを配っていただき、宣伝広報活動をしていただける企画に出演できることは本当にありがたいです。私自身の活動としては、数でいえば小学校や公民館、集会場などお客様の顔を一人一人見ることができ、演奏中反応が分かるような演奏の機会が圧倒的に多く、学ぶことも多いです。演奏だけで素晴らしさを伝えることも大切ですが、せっかくお客様に来ていただく訳ですから、今日行われたような、照明や最後のお話やトータル的なコーディネイトなど、音楽以外の分野から学ぶことも取り入れて、一人でも多くのお客様が満足していただけるような活動を目指していきたいと思います。

建部紘子さん
皆様、お越しいただきましてありがとうございます。私たちも、小さい演奏会からこの様な舞台に立たせていただけるこの様な機会まで、いつでもありがたさを噛みしめながら演奏しています。これからも、まずは皆さんに音楽を楽しんでいただいて、こうやって来ていただく機会を多くご提供できるように頑張りたいと思いますので、どうぞこれからも応援をよろしくお願いいたします。

 
岩崎愛さん
本日はご来場いただきまして、本当にありがとうございました。いつもMHKSさん主催のコンサートに出させて頂いております。今回もこのような素晴らしいホールで弾くことができ、皆様にもなるべく良い響きをお届けしたいという気持ちで演奏しました。今後の活動としましては、来月管楽器とピアノのアンサンブルで、昭和音楽大学の同窓生によるコンサートを一番町のヤマハさんの6階のホールで開催します(6月21日(土)午後2時~)。今日のように気軽に足を運んでくださる方がいらっしゃれば嬉しいと思います。今後も応援、どうぞよろしくお願いします。

 
浅野裕里香さん
今日はどうもありがとうございました。こんな素晴らしいホールで演奏させていただくのは久し振りなので、素晴らしい響きとお客様の暖かい空気を感じながら演奏することができて、とても嬉しく、楽しかったです。今後の抱負は、今日のようなソロの活動を一生続けていくということが第一の目標です。沢山の方との出会いを大切に、バラエティに富んだこともやっていきたいです。たとえば、一人の作曲家を集めたコンサートを企画したり、ピアノや歌の素晴らしい作品をヴァイオリンとピアノで演奏したり、ヴァイオリンとピアノのための曲を無伴奏ヴァイオリンソロでアレンジしてみるなど、いろいろチャレンジしてみたいです。これからも応援よろしくお願いします。

 
菊地沙織さん
今日はこのような素晴らしい場所に皆様お集まりいただき、暖かく聴いていただき、本当にありがとうございました。私自身、今は東京に住んでいるのですが、仙台で音楽を学び、私の音楽を育ててくれたのも仙台の地だと思っています。岩崎愛さんとは小学校、中学校の頃から同じ舞台で切磋琢磨してきました。やっぱり仙台は特別な場所ですし、これからも仙台でいろいろなことができていければ幸せと思います。私個人の活動としては、ピアノソロをどんどん勉強して舞台にかけていきたいという思いと、オペラの伴奏や声楽の方とのアンサンブルをよくやり、勉強させていただいていることもあり、仙台で歌の方と一緒にコンサートができないかと目下計画しております。このような素敵な舞台に立たせていただく機会は数少ないのですが、皆様お客様方とのご縁を大切にしていきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします。


この日出演された、6人の皆さんは考え方も、そして演奏もしっかりした方ばかりでした。この様な若い皆さんを応援していくことは、宮城、仙台の音楽文化を育てていく上で欠かせないことと信じます。彼女たちがずっと、ここ宮城、仙台で活躍してくれることを願いつつ、筆者も応援し続けていきたいと思った一日でした。



広報宣伝サポートボランティア   岡

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